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OSK「真・桃太郎伝説 鬼ノ城 ~蒼煉の乱」初日 [観劇感想(OSK)]

OSK「真・桃太郎伝説 鬼ノ城 ~蒼煉の乱」
2017年1月28日(土)11時 初日 近鉄アート館 


「真・桃太郎伝説」というタイトル通り。
桃太郎というおとぎ話に隠された真実、もとになった出来事、
そういうスタンスで描かれた物語り。「あ~なるほど」と納得できる。
超自然的な力も使われるけれど、ベースは深く濃い人間ドラマ。
テーマは明瞭。何度も同じ台詞が繰り返し違う人物から繰り出される。
鬼とは何か、人の心に潜むものは鬼なのか、仏なのか。

物語の構造は、複雑に入り組み絡み合い、少なくとも三重構造になっていた。
イサセリ、温羅、望月上道。この3人を柱とする三層。
イサセリ、温羅、それぞれの物語。一人ずつでも1本書ける人生。
その上に覆いかぶさる上道の壮烈な生き様。
一度目は、表を追うので精一杯。次はじっくりと、それぞれの裏を見ながら
味わいたい。3層なので、視点を変えて3回は楽しめるぞ。

張り廻らされた伏線をバシバシ回収し、結末に向かって怒涛のご遠く収斂して
いくところはゾクゾクする。ピースがビシビシ嵌っていく快感!
やっぱり、はやみ作品は好みだわ~

201701鬼の城.jpg

ネタバレあります。かなり注意して書きましたが、それでも隠し切れない・・
驚きを楽しみたい方は、観劇後に読むことをお勧めします。



OSK「真・桃太郎伝説 鬼ノ城 ~蒼煉の乱」
作演出 はやみ甲


ざっと書いた通り、「桃太郎」というおとぎ話と、古事記や日本書紀に載る
史実(と思しき)崇神天皇の御代に行われた四道将軍・伊佐芹彦命の西方(吉備)
征伐のお話し。実際には、伊佐芹彦は出雲征伐を目的としており、吉備へは
ついでに立ち寄った・・らしいんですけど。
そして、この物語では温羅が百済から伝えた「鉄」が重要な要素を持っていたけど、
実際、出雲も鉄の産地であり、大和朝廷はこれを恐れて西の両王国を征服したって
のがある。(出雲は最後まで抵抗して滅ぼされたが、吉備は大和に服従したので、
滅ぼされなかったとか→結構、「鬼ノ城」の脚本とあってるな~って思った)

さて史実?は置いといて。鬼ノ城の世界へ。

いや~3つの話が複雑に絡み合ってて、なんて面白いのだ。奥が深い。

イサセリの物語。桃太郎の本筋になる方ですが、犬・猿・雉を象徴する3人は
山の神の元で暮らす異能の人。イサセリ自身「巫女である母からの注意」が
冒頭で説明があり、彼もまた異能の人として紹介されている。
それゆえの疎外感、己の力を隠して生きざる得ない孤独。
だからこそ、山で得たかけがえのない3人の仲間が強調される。
もし彼と温羅と話し合えていたら、まったく別の未来があったはず。
すべてが終わっても、朝廷―人の住まうところ―に安住の地はなく、
やはり異能の仲間と旅を続けるしかない。苦難ながらも幸福な旅を。

次が温羅の物語。温羅もまた異国・百済で異能の人であり、
それゆえに国を追われたという過去を持ち、孤独とともに生きてきた半生。
それが吉備に来て初めて村人に受け入れられ、愛する人と家族を得る。
そんな幸せに感謝し、生きることに希望の光を見出している平和な日々。
そこへ襲い掛かる闇。戦いの中で彼も闇の力を使い・・悲劇の結末。
彼のその後は描かれなかったけれど、現代まで続く「鳴釜神事」が
納得できる描き方だったと思う。(作中に描写なかったけど、プログラムの
解説にはあったね。調べると面白い。いかにもありそうで納得できる)

最後にしてすべてを覆うのが望月上道の物語。一番深い闇を持つ男。
異能の人ではない、普通の人。それゆえに上の二人より濃い闇を生みだした。
おそらくは、若いころは普通の人であり、普通に生まれ育ち、普通に人を愛し、
恋をして、そしてそれを失い、裏切られ、貶められ、権力の理不尽と己の無力を感じ。
感受性が高くまた能力があった故に、大きな大きな闇を育てる事なってしまった。
上道は上の二人と違い、幸福になることを望んでいない。光を求めていない。
愛する人も自分も、他人も国も、すべてを真っ暗な闇に沈めること、世界を闇で
覆いつくすことを願っている。・・自分が幸福を奪われたなら、周り全ても不幸に
してやる!という厄介なタイプ。このタイプの人が能力高いと本当に大変・・
という見本のような方。そして信念が揺らがず根性も能力も実力もあるから
一度敗れたくらいではあきらめない。執念深く、前に進む。狂信者のごとく。
・・ラストシーンを見ると、まだまだやるぜ・・という雰囲気。
帝もイサセリも、安眠できません(笑

柱となる3人の過去がはっきり見える素晴らしい脚本と演技。
高世さん、桐生さん、悠浦さん、3人とも芝居が深い方なので、奥行きがでる。
彼らに絡む人々も、ひとりひとり全員が生きていて、「その他」が居ない。
感動的に、物語に深みを与えていると思います。こういうの、大好き!

2時間半でフィナーレが少しついている。1幕最初は、設定や説明が入るので
少し長いかな~と感じたけれど、1幕中盤からどんどん盛り上がり、2幕は
あっという間。怒涛の流れ。ラストも3つのラストをそれぞれ語るので
ちょっと冗長に感じるけれど、それぞれのラストが欲しいから、必要。
上道が最後というのがまた・・To be continue という感じで、興味深いわ。


では個別に。初日感想なので、書けないことが多い。また千秋楽後に書きたい。


<チーム・イサセリ>
イサセリ:伊佐芹彦命(高世麻央)
前の天皇の皇子で、今の天皇の異母兄。武勇に優れ四道将軍に任命されていたが、
今は任を解かれている。彼が異能なのを知っていたのは母のみか。戒めを守って
仮面をつけて生きてきた様子。イキイキした犬猿雉の3人といるのは、楽しかった
だろうなあ思う。無表情ながら、やり取りを楽しんでいるというのが伝わってくる。
分かり合える4人に見えて。最後にも同じような場面があるけれど、そこでは
イサセリの笑顔が見えて、本当に幸せそう(あら?「カルディアの鷹」を思い出す?)
彼の心の仮面、母の呪縛が解けて、真実の姿をさらけ出せるようになった。
それを見る3人も幸せそう。これからの4人の絆と楽しい旅が見えるようなそんな
幸せな気分になりました。
今回イサセリが主人公ですが、あと二人主人公が居るような感じで、場面が
3分割されるような物語だから、圧倒的主役という作りではなかったけれど、
「陰のある白い王子様」は主役の王道。素敵です。お似合いです。品があるわあ♪
そのためか衣装がかなり華美で、身を潜めて目立たぬように生きてきた割には・・
とちょっと思いました。衣装がもっと欲しい~と書きましたが、
→衣装2着お持ちでしたね・・私は最初の袖のあるほうが好みかな。
遠征に行くときの衣装は、ちょっと薄くてひらひらしすぎなような。
お似合いなんですけどね。


マオリ:鳥羽真織(千咲えみ)
鳥の視点になれる異能の少女。異様に鼻が利くのと、幻視ができるのと幼馴染って
その村は超能力者の村なんだな~って思う。イサセリと知り合い、3人そろって
くっついて歩いてる。雉だけど、イサセリにじゃれる子犬みたいな存在。
可愛い~!!フレアなミニスカートに白のロングブーツ。
白い羽もついてるし、背中にピンクの羽根も背負ってる。長~いツインテールに
お花飾りがついてて。なんかアニメチックというか、ゲームの世界から出てきた感じ。
衣装の色もパステルカラー、性格もパステルカラー。もう「王道ヒロイン」。
今回、千咲さんの初ヒロイン!前からヒロインできる人だと思ってましたが!
これからもどんどんヒロインをしてください。
イサセリとのデュエットもあり、安定した美しい歌声が聞けました。


タケル:犬飼健(虹架路万)
鼻が利く青年。3人の中では一番年上。ちょっとひねた感じの不良少年ぽい。
イサセリにも反抗しまくり。だけどついていくあたり、本当は好きなんだね(笑)
本作では、彼の鼻がすべての真相を暴く切っ掛けとなりました。
異能の彼の鼻が無かったら、陰謀は成功していと思われる。完璧だったもの。
虹架さん、黒と白のメッシュなヘアが素敵。素直なユンとマオリがいるから、
ひね者タケルは、普段はもっとニヒルに気障ってて。ここぞ!って時に
ばーんって出てシリアスに話してほしい(って、そりゃ私の好みだな)。
→どんどん良くなっていったよ~たけるくーん。書きたい。書く!


ユン:猿沢唯(翼和希)
山の神の声が聴ける・・というか幻視(予知夢?)ができる異能の少年。
タケルとは犬猿の仲。ユンは素直な少年だからな。イサセリを尊敬していて
まっすぐに態度に出している。マオリは妹みたいな感じ?似てるよね君たち。
イサセリが可愛がってそう。可愛いよね、忠犬みたい(あら猿なのに)
彼が見た鬼は・・・。会ったことないもの、わかんないよね。
異能だって人間だもの。神じゃない。
フィナーレで翼さんの美声が聞けて嬉しかった。もっと歌って~!


<チーム・ウラ>
温羅(桐生麻耶)
髪の色が違い、体格が違い、明らかに異国の人。それでも吉備の村人は彼を受け入れ
ている。温羅、誠実で相当性格がよいのだな。でも簡単に姦計に掛かり、保身を図る
吉備の人々はあっさり温羅を見捨てる。ナレーターが語る「吉備の鬼」の様子は、
舞台上に見る温羅と村人の様子と全然違う。ナレーションは「古事記」通りの記述。
つまり「実際とは全然違う、朝廷に都合の良い記録」なんですね。
温羅が異能になると声が変わる。異能の人を鬼というなら、温羅もイサセリも
間違いなく「鬼」。心に闇を抱える人を「鬼」というなら、違う。
だが温羅に闇が無いわけではない。善良な温羅、鬼である温羅。心理状態と
切り替えが素晴らしく、さすが桐生さんだと感動しました。
歌も素晴らしくて。なんて良い声。今回は対立するとはいえ敵ではないし
明るくそれでいて重みのある歌だったと思います。
衣装がたたらの人(鉄職人)といった感じで、吉備の人全般に地味目で
彼の堅実さが衣装でも表現されていたのか~と思いました。

阿曾姫(折原有沙)
吉備の村長の娘。温羅の妻。心から温羅を信じ愛している。この人に闇はない。
愛する人を失っても闇に飲まれはしない、そんな強さを感じました。
折原さんのきりりとした女性らしさが、か弱い女性の中の強さを示していて、
温羅よりイサセリより、誰よりも強い人だと感じました。
阿曾姫ってこんな人だったに違いない!と思えました。


弥彦(壱矢ゆう)
温羅のたたら職人のひとり。彼が目をかけている若者で、温羅も阿曾姫も
弥彦を信頼している。ちょい役じゃないよ~
壱矢さんも芝居が上手い。本格的なお芝居を観たのは初めてですが、素晴らしい。
歌も上手いし、将来が期待できる方です。


三奈人(湊侑季)
吉備の若者。温羅も阿曾姫のことも大好きだけど、妻子があり、平和を守るため
温羅を見捨ててしまう。善良な人の弱さと狡さ、生きるためのしたたかさを
象徴している人物だと思いました。

奈留(実花もも)
阿曾姫の妹。平和な吉備の象徴のような女性。バイトでは、平和のために
闇に生き闇に沈む役をされてました。対照的や。

吉備の女(羽那舞)
吉備の平和を表す役割かな。(いろいろバイトされてましたが)


<チーム・大和朝廷>
望月上道(悠浦あやと)
上で書いたような半生を持つ人。傍目に見たら、それほど不幸でもなんでもなく
「あきらめれば」いくらでも平穏な幸せが手に入っただろう立場の人。
なのに。彼は失ったものがあきらめきれず、その後の人生と、自分の能力すべてを
費やして、闇を育ててしまった。自分ひとりのみならず、国中を覆うような闇を。
考えれば、この人の「想い」(執念というべきか)がすべての原因であるんだよね。
→御間城姫の父はいったい彼に何をしたんだ?とその話も知りたいぞ。
イサセリも温羅も、上道の闇に触れなければ「鬼」にならなかった。
一本筋の通った強烈な人物でした。決して信念を曲げない、屈しない。
この人が光の方を向いていたら、どれほどのことを成しえたか・・と思う。
こういう最初から最後までぶれない筋金入りの人物は、光であれ闇であれ、
私の好みのタイプ。闇が深いほど引き込まれる。印象的な人物でした。
悠浦さん、こんな真っ黒い役は初めて見ました。いつもと顔が違う。声も違う。
最初誰だかわからなかったほど、違う。お化粧もだけど、表情から動きから全然違う。
いつもより(幸村よりも)もっと低音で暗い雰囲気を漂わせている。
陰気なのではなく華やかな闇をまとっている。
朝廷の貴人なので衣装も豪華ですが、なんともゴージャスな闇。
歌もいつもながらよく響く華やかな良い声ですが、今回は迫力が違う。
幸村が正の迫力なら、上道は負の迫力。声の表情まで役作りで変えてくる。
ただ低音がちょっと苦しいところあり。もっと声が出ると思うので、期待。
悠浦さんの新しい魅力発見、いえ発現。白い王子様イメージの方ですが、
黒い闇がこんなに似合うとは。嬉しい驚きです。
→この人、もっと深かった。驚きから覚めてしっかり見ていると
皇后との目線、表情。本当にいろいろ語っている。闇だけじゃない、
純愛の人だ。また千秋楽後に語りたい。


御間城姫命(城月れい)
帝の妃。帝との間には王子がいるようです。この王子と自分の幸福のために、
彼女は夫である帝を愛し、全力を尽くします。過去を、愛しい男を切り捨てて。
深く考えると、すべての発端は彼女のような気がする。彼女もまた深い深い闇を
心に抱えているが、女の強さ、そして母の強さをもって、闇を見せていない。
阿曾姫も揺るがぬ強さを持っているけれど、御間城姫のほうがもっと強くて怖い。
ラストシーンを見るに、御間城姫が愛しているのは、恋人だけのように感じる。
二人の間に通じる何か、を感じましたもの。
でも自分と息子を守るため、彼にすらそれを見せない。冷酷なまでの強さに
背筋が凍る。帝とて・・。
城月さんの冷たい美貌があまりにぴったりで。そしてこの何重にもなった
ベールを1枚ずつはいで見せる演技力。
慈愛に満ちた気品ある美貌の皇后、そして。・・・素晴らしいわ城月さん。
→あなたも、語りたい。すごく語りたい。


崇神天皇(愛瀬光)
素直で優しく、慈愛の皇帝。為政者たるもの時に冷酷にならねば!と
決断をするも、それはすべて上道の掌の上。彼の望みとは異なるほうへ。
愛すべき善人王。イサセリも本気で帝たる弟を愛し支えようとしている。
善良だが凡庸な王、みなそう思っていたと思う。だが彼も意外に気づいている。
そして気づいていないふりをしている。皇后の本心を知っているかもしれない。
そう思うと、帝もまだ闇を封じて生きているのかも。強い人なんですね。
たぶん、上道よりも温羅よりもイサセリも、ずっとずっと精神的にタフ。
下手に動くと、命を失うような危うい立場だもの。彼は細心の注意を払って
生きているのかもしれない。
この夫婦、外から見える姿と実際の心の内が違いすぎて、怖い。
愛瀬さん、何重にもなった帝の心の層を、凄く丁寧に見せてくれました。
やっぱり凄いわ。


青霧(天輝レオ)
望月上道の部下。一番信頼している部下でしょう。大変に有能。
彼の計画も行動も完璧だった。異能の人さえいなければ。
今回、一番悔しいのは彼かもしれない。上道のつくる闇の世界を
青霧も目指していたのかも?語られなかったけど、彼も大きな闇を
心の内で育てていたように感じました。
天輝さん、かっこいいわ~彼を見ていて、上記のように思ったんだもん。



うわ、書いていて思った。私、朝廷側に思い入れ有るみたい。
朝廷サイドの人がみんな、心の内が複雑で何重にもなっているからかも。
こういう表と裏、深層が違う人物に心惹かれる。上道、帝、皇后。
この三人は闇が深すぎる?私が深読みしすぎ?
宮廷ってところは、やっぱり魑魅魍魎が跋扈するところなのか。
彼らに比べれば、山の異能者も、異国の異能者も、素直だなあと思えるほど。


ということで、私はかなり嵌りそうな予感です「鬼ノ城」。
まだまだ書けない部分が多すぎて、また千秋楽後に思う存分書きたいです。
今回のプログラム。ちょっと高いですが読み応えありました。
あ~はやみ先生と語りたい!お茶会があったら行きたい。行ってお話聞きたいの。


*ちょっと追加しました。が、千秋楽後に、新たに気づいたところを
書きつくしたいと思います!

鬼ノ城 大阪千秋楽の感想はこちら 鬼ノ城 東京の感想はこちら
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