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松竹座「銀二貫」 [観劇感想(その他)]

松竹座「銀二貫」
2017年6月4日(日)16時 2階後方センター


「銀二貫」は大好きな小説。宝塚雪組での舞台化が大変よかったので
今回もちょっと期待していました。

が。「なんか違う。」という印象。全体的には「銀二貫」なのですが、
大事なテイストが変っているというか。なんだかモヤモヤしました。

ジャニーズJrの若手が何名か(4人?)出ているとかで、
会場には中高生に見える若い女の子がいっぱい。
客層がいつもの松竹座じゃない。
折角なら、原作の持つ良さを味わってほしかったなあ・・なんて思った。


(注意!)
原作読んだのだいぶん前で、本が手元になくちょいと記憶で書いてます。
違ったらごめんなさい。でも大幅に違ってないと思ってます。。
そして。宝塚ファンで、宝塚版を見ているのでかなり影響されてます。
そこんとこ考慮して読んでくださいね。



ジャニーズさんが映ってると、ポスター画像がどこにもないのね。
なんだかな~。貰ったチラシを撮影しました。

201706銀二貫p.jpg

銀二貫

原作:髙田 郁(たかだかおる) (幻冬舎時代小説文庫 刊)
脚本:滋井津宇(しげいちひろ)
演出;鍛治明彦


原作通りのセリフなのに、微妙にシチュエーションが変えてあり
そのために台無しになってる場面が多くて、感動できない。
良いセリフなのに、ここで使う!?みたいな感じです。
ちょっとした場面のズレ、それは舞台装置の関係かもしれないけど、
そのズレが色々とぶち壊して行くような気がした。
何が違うのかわからないけど、台詞は原作に忠実で、ストーリーも
変えてないのに、なぜ原作の感動が出ないのか不思議だった。


おそらく、主役の松吉を演じた藤山扇治郎さんありきの企画で、
松竹肝いりで作られた作品なんだろうなと思う。
丁稚仲間のジャニーズの子たちは客寄せに呼ばれたような印象でしたが、
これが駄目駄目になった元かと推測した。もっとちゃんと役者させてあげて!

元が武士の子で、いろいろ葛藤を抱えて商売人として生きることを
目指しながら、どこか芯の通った武士の心情と心根を併せ持つ松吉なのに、
この松吉には全く武士の部分が無い。根っからの下町の商売人に見える。
生まれつきの商家の子みたいだ。さらにその物腰と言葉遣いがあまりに
商人すぎて、丁稚の中で浮いているの。すごい違和感。
周りの丁稚たちが、見習いらしい少年らしさ、未熟な若さゆえの柔軟さを
持っているのに、それを一番もっていなければならない松吉が持ってない。
松吉一人が、成熟した丁稚なのだ。おそらく、周りも松竹出身の役者さんなら
違和感なかったと思う。回りが、こういう芝居になれていない、それゆえ
少年らしい新鮮さを持ったジャニーズJrだったから、の違和感。
いっそ主役もジャニーズの子にすればよかったかも。(本末転倒になる!?)
その方が違和感なく、また妙な気遣いなく、原作に沿った脚本にできたのでは?
などと思ったのでした。


<井川屋の丁稚>
まだ書くと、丁稚にはいろいろ思うところがあった。
ミスキャストだな、と思うのは上記の通り。
さらにいうのは、四人の丁稚の個性が出てないこと。
松吉から順番に書くと。

松吉(藤山扇治郎
松吉は最初から一番商人だった。武士の子という生まれが感じられない。
言葉も動作も顔つきも、一番商人だ。松竹の方でこういう芝居になれていて
周りも同じ畑の方なら、違和感なかったかもしれない。でも違ったから。
雰囲気でいえば、定吉の方が武士の子に見える。顔つきも動作もきりりとして。

定吉(朝田淳弥)
その定吉。原作では定七という名の手代で、根っからの商売人。
店が休業するほど立ちいかなくなると、辞めてよそに行く決断をする人。
現代でいえば、アメリカンなビジネスマインドをもってるというのか。
商売人なら、そう考えるよね。という動きをする人だ。
でも本作は中の人であるアイドルさんが役の所為でファンに嫌われない
配慮か、お店が苦しい間、よそに出稼ぎに行くような感じに改変されていた。
それ、全然ビジネスマンじゃないし、「商売にはそういう非情さも」と
いうエピソードなのに、それが丸ごとどこかへ行ってしまった・・。
なにその馴れ合い。商売の厳しい部分がすべて削除されてしまっていた。
これに象徴されるように、全体にぬるい雰囲気になってしまったのが残念。
関係ないけど、丁稚の中で一番すっきりきりりとした涼しい美形で、
武士の子という雰囲気が漂っていた。彼の方が「元武士」に見えるので
余計に松吉が・・・。

亀吉(大橋和也)
つぎ。亀吉は愛すべきおバカで、頭もよくなく内勤的働きもできない、
労働力から言えばあまり役に立たないけれど、明るいムードメーカー
という役割を評価され、それを自分でもわかって、
お店が苦しくても、どんな時でもみんなが頑張れる牽引力だったのに、
定吉と一緒に出稼ぎだって。
脚本家、彼の役割がわかってないんじゃ!?と思った。
亀吉はちょっと情けなくて面白いキャラであったけど、一番大事な役割を
果たせてなかったのが、そういう脚本だったのが至極残念だ。
中の人は、キャラクターぴったりで、とても楽しかった。上手かったよ。


梅吉(藤原丈一郎)
最大の違和感は梅吉。宝塚でいえば2番手の重要な役なのに、
大幅に役割と出番を減らされていた。
本作の梅吉は、ただの親切な丁稚仲間、松吉の文通相手やん。
お店にとって、開発部長の松吉と並ぶ重要で有能な営業/総務部長なのに。
彼がその人柄と能力で山城屋さんに養子にのぞまれ、葛藤と決意。
その梅吉の山城屋が松吉の新製品に貢献するところが丸々削除されていた。
「梅吉が・・・」と私はがっくり。梅吉の役割はこんなもんじゃないわ。


丁稚については、あの長時間上演なのに、なぜここを省くの?
というところばかりが削除され、みんなが誰にでもわかる「いい人」
な仲間になり、結果、原作の持つ良さが半分も出ていなかったと思う。
梅吉、定吉、亀吉は三人一緒に扱われ、大変にもったいなかった。
原作が持つ役割と個性、私の見る限りジャニーズの3人はきっちりと
演じられたのではないかと思うだけに、本当に惜しい話だ。
一見悪い役に見えても、しっかり考えると、とてもしっかりした人物なのよ。
心のうちに松吉以上の葛藤を抱えながら、外に出さずに他人を思いやったり(梅吉)、
たとえ袂を分かつことになっても冷徹に人生を考えた商人だったり(定吉)、
馬鹿に見えても他人の幸せに幸せを感じる懐の大きな人物であったり(亀吉)
・・そういう個性を。演じさせてあげて欲しかった、見たかったです。


真帆(宮崎麻衣)
ヒロインの真帆。やっぱり共感できない。
宝塚の時も、あの芝居の上手い有沙瞳さんが演じても共感できなかった。
ということは、誰がやってもダメなの?(極論?)
お嬢さんの真帆→お鉄→傷持ちの真帆、この「立場が変わるつれての心境」が
なかなか共感出来ない。今回も、わがままと強情と自分勝手が目につき、
あまり良い人に見えない。
原作ではとても魅力的な女の子なのに。
あとやっぱり火傷は首や腕だけですね。顔半分は女優には無理か。
本作の真帆は火傷のことは、松吉に対してあまり引け目に感じてないように
見えたし。その場面がなかったから余計に図々しく感じたのかも。

嘉平(赤井秀和)
嘉平さんは原作通りかな。出番が少なかったけれど役割は果たしていた。
ただ、松吉に寒天の良さを教えるのに、寒天問屋に乗り込み、
店主や店の全員がいる前で、というのはやりすぎのような。
松吉だけに対する特別扱い。あれでは普通に店の旦那さんたちが気を悪くし、
丁稚仲間はやっかみでいじめるで?
(これ普通の反応だよね。本作みんな良い人過ぎで現実感ないわ~)
なぜそんな改悪を?と思った場面の一つ。
原作通り、自分の店(まほや)で松吉にだけ話す、が正解だと思うのだ。

お広(洋あおい
お広さん。登場場面から驚いた。
最初から、「お鉄が娘じゃない=真帆」だとわかってるみたいな芝居。
えええ?となった。本当に彼女を「お鉄」と信じ込んでいるように見せないと
真帆が「自分はお鉄じゃない、真帆だ」と言えないことに説得力がないのでは。
最期の告白で真帆が驚く理由がないやん?

井川屋和助(高田次郎)
旦那さん。本作の影の主人公。のはずなんだけどね。
イメージより年寄りでしたが、役割は原作通りかな。
原作より、「したたかな商人」の一面を示す場面が無かったけど。
(定七もいないしねえ)
ラストも省かず、銀二貫を奉納した場面入れて欲しかった。
(奉納したから、結婚式だったんだけど分かりにくかった・・)

井川屋番頭 善次郎(曽我廼家 文童)
番頭さん。原作では影のヒロイン(笑)
旦那さんが原作より大人しいし、より一層良い人になっていて
番頭さんが松吉を嫌う場面も少なくなっていた。番頭さんが松吉を
嫌う理由も語られていたけど、あまりにあっさりと流されていて
それがあまりきちんと伝わってなかったような。
(観客の若いお嬢さんたちに伝わったとは思えない)
これが伝わらないと、番頭がただの意地悪にみえるじゃないか。
松吉の方にだって、番頭さんには負い目をもっていたのに。
その気配も感じられなかった。いろいろ省かれてて残念。
芝居は一番うまかったと思う。


寒天場の半兵衛さん
出番が大幅に増えていた。最初の場面に「証言者」として
存在しているなんて。半兵衛さんは基本的に寒天場からでてこないのに。
この半兵衛さんはかなり出歩いてますな(笑)
役割はとってもかっこいい。そこはそのまま。だけど妙にイイ人化した感はある。
半兵衛さんはもっと気難しいオタクな職人さんだと思ってたから。
半兵衛が物わかりの良いいい人化したため、
「あの寒天オタクを感心させるほどの根性を見せた松吉」もなくなった。

建部玄武&弟 玄之助(室龍太)
苗場藩の藩士で、松吉の父を敵として殺した男。
だけど「仇討ち」を売った銀二貫を有意義に使い、後年松吉が「あの人も
人々のために考えた人だった」と、彼を評価する場面があるはず。
本作では、松吉は苗場にはいかず、玄武の弟玄之助が寒天場に現れて
その話をすることに代わっていた。この変更は良いですね。
まあ、説明台詞の羅列でしたが(笑)「こんな偶然ある~?」って。



こんな感じ。宝塚雪組バウ公演の脚本と演出が良かっただけに、
「なんでこう変えるの?」と思う(原作からの改変)があって、
ちょっとモヤモヤした。谷正純先生の脚本と演出が良かったんだな。
キャストが嵌ってたんだな。と思ったのでした。
(宝塚版、松吉の月城かなとさんが嵌ってたし)
今回、私が勝手にキャスティングするなら、
朝田さん→松吉
藤山さん→梅吉
藤原さん→定吉ではなく定七

顔を雰囲気で言ってます。
ジャニーズ内の序列は知らない。
ま、ありえませんが(笑)

宝塚ファンで、宝塚版を見ているので
それがベースになってます。考慮してね。
谷先生は日本物が上手いなあ。
松竹座で一度演出して欲しい方です。

ご参考。宝塚雪組「銀二貫」の感想はこちら







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