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宝塚宙組「神々の土地/クラシカル・ビジュー」初日 [観劇感想(宝塚)]

宝塚宙組「神々の土地/クラシカル・ビジュー」初日
2017年8月18日(金)15時 1階28列上手


良かった!!!!凄く深い心理劇だった。往年の柴田作品の雰囲気が漂う。
お互いに愛し合っているのに、自分の力ではどうにもならない歴史の奔流に流され
思いを告げる事さえできない・・自分の立場を知り、自分の役割を果たしていく・・
心の奥底の想いを通じ合せているのに、黙ったまま。
そんな感じ。私の大好きなパターンです!これぞ宝塚の王道!と私は大絶賛。
好みもあると思いますが、私には超好み。さすが上田久美子先生だ。

ショーの方は、華やかでキラキラで、ギラギラで。見たことある衣装がいっぱい(笑)
娘役トップ不在なので男役デュエットダンスとか男役リフトとか、
ナニコレ初めて見たわ!?という変則。
お芝居のほうはきちんとヒロインがいたので、
娘役トップ不在という変則なんてかけらも感じなかったのに。
とはいうものの、怜美うららさんと星風まどかちゃんのW娘役トップ状態で、
男役祭りというわけでもなかった。
あと、個人的になんとなく懐かしく感じる場面があり、あとで調べてわかった(笑)

私にとってはこの作品は大当たり!!!帰りに窓口でチケット買ってしまった。


201708宙神々の土地.jpg


ネタばれあります。まだ初日一回しか見てないのに、長いです。



ミュージカル・プレイ 『神々の土地』
~ロマノフたちの黄昏~ 作・演出/上田 久美子


平和な時代に、平凡な日常の中で、ちょっとしたすれ違いや誤解が巻き起こすほのぼのとした恋物語も良いけど、やっぱり恋愛モノの王道は、戦争や革命クラスの社会全体が巻き込まれるレベルの嵐の中、皇族貴族といった立場に縛られ身動きができず、それでも・・・という超ドラマチックなのが好き。
「月雲の皇子」もそうだった。今回の「神々の土地」もそうだ。植田久美子作品に私が惚れるテイストはこれなのだろう。往年の柴田作品にもこういう「許されない立場の二人」「言葉にできない愛」がテーマの作品が多いけれど、上田先生のはさらなる要素にドラマティックがあると思う。そこは女性だからか?「激動」なの。柴田作品はどちらかというと「静」、上田作品は絶対に「動」。ま、私の印象だけどね。



大昔、池田理代子先生の「オルフェウスの窓」という作品が大好きで読み倒していた。特に後半のロシア編が好きでたまらず、当時中学生くらいなのにロシア革命の本を読み漁った。しかも登場人物で一番好きだったのがユスーポフ公爵夫妻で、その関係はかなり細かく。・・・・それがこんなところで役に立つとは。おかげで、この公演のややこしい地名人名が全部わかるわ(笑)
ちなみに、「オル窓」では、公爵の名前はレオニード、公爵夫人が皇帝の姪で絶世の美女と評判のイリーナ。私が大好きだった公爵夫妻は、悲恋の立場で朝夏ドミトリーと怜美イリナに投影されていた。これ、ものすごく共感して大絶賛している理由の一つかもしれん。(漫画の公爵夫妻は、想い逢いながらも意地を張ってすれ違ってたが、「神々」の設定の方が萌えるわ!。)漫画の影響が強くて(私の記憶力が良いのか、昔覚えたことは忘れないものか)彼(真風さん)がフェリックス(史実はこっち)と呼ばれるたびに、レオニードなのに・・・とちょびっと違和感。(イメージも違い、レオニードは朝夏ドミトリーに近い)。イリナはユスーポフ夫人と思えるし。ドミトリーは私の中では漫画の方の主人公の兄で固定化されてて、それが結構この朝夏ドミトリーと雰囲気似ていて。いろいろ違和感を持ちつつ、それでも大好きな世界、大好きな公爵夫妻が朝夏さんと怜美さんで再現されており、嬉しかった。あ、ラスプーチンは漫画で出てきたイメージそのままでした。


前置きが長すぎますね。

この作品でいえば、娘役トップ不在のはずが、まったく感じませんでした。以前、瀬名じゅんさんのラストが娘役トップ不在で、そういう作りで(男同志の物語)、うーん・・と思ったのですが、この作品はちゃんと比重の大きいヒロインが居て、男役2番手は思ったほど重くなかったです。意外。再演するなら、普通に普通の組でできそう。
もちろん、娘役トップ=ヒロインは、上でもさんざん述べたイリナ夫人です。
朝夏さんと怜美さんがこんなに似合うとは思ってなくて、本当にトップコンビのよう。怜美さんは1作限定トップでもよかったのに(銀行の顔も立つしね)と思いました。朝夏さんの「大人の男」がとってもとっても素敵でした。男らしさ、力強さ、包容力は、大人の男の陰影。最後に大発見な気分。怜美さんは大人の女が似合う(というよりは少女役は厳しい)タイプだと思っていましたが、こういう役がまさにはまり役。最後に大輪の華を咲かせてくれました。


また脱線しますが、「白昼の稲妻」という作品を見てみたくなった。花總さん時代の宙組作品。設定を当初の脚本通りで。上演時はヒロインが令嬢だったけど、もとは人妻(未亡人)だったとか。もちろん怜美さんヒロインで朝夏さん主役。なぜかというと当時2番手の水さんを、今回の真風さんを見ていて思い出したから。あんな感じの役だったよなあ~どっかで見たなこれって。いまだに水さんに似てると思う。私は真風さんの方が歌もお芝居も好きだけど。だから余計に欲が出るのね。「見たい」って。


話を戻そう。ロシア革命の前夜から、革命の引き金となるラスプーチン暗殺の人物を主人公に描く。(見たかったテーマそのもの!)基盤が揺らぐ王室と国を救いたいという危機感と情熱、そして勇気を持っての行動にもかからわず、ロシア帝国の崩壊を防ぐことができない無力感、敗北感、ただよう寂寥感がロシアの大地に二重写しになる。その広大な大地は、彼ら支配層に無視され搾取され続けた農奴たちの恨みが雪のように降り積もり、決して立て直しを許さない凍土になる。凍った怒りが爆発する!・・・というところは少々弱かったけど、皇室側をしっかり描いてくれたので、時間内ならこれで十分。
時代は違えど、「黒い瞳」はロシアのコサック側を描いているので、それはそっちで(笑)。そういえば、「黒い瞳」のニコライとプガチョフほどの友情場面はなかったな・・・激しく敵対してないから?皇族と大貴族だものね。でも当初は対立してたのに。欲張りですが、そこも欲しかったです。どうでもいいけど、ロシアの下々はずーっと虐げられてるのね。それがこの時代に臨界点を超えたのか。


上田作品は、宛書の魅力はあるけど、再演に耐える作品だと思う。
今回も、あまり退団色は感じなかった。退団配慮が無いわけではないけれど、物語を優先した感じ。作品の持つ完成度は非常に高い。もし普通の退団を配慮する演出家なら、ラストはドミトリーが去って幕、にしたのではないか。いやこのラストはかなり想像の余地、余韻があって感慨深くて良いけど。私はお芝居にはそれほど退団配慮しなくてよいと思う。退団色は、ショーで思いっきり出せば良いんだから。





既に十分長いけど、人物ごとにまだ語る。


ドミトリー・パブロヴィチ・ロマノフ【皇帝の従兄弟、帝国軍人】 朝夏 まなと
すごくカッコ良い役だ。皇族の矜持、先を見通す目、頭の良さ、勇気、度胸、優しさ、秘めた恋心、謙虚なふるまい。イリナに向ける視線、手の位置、それだけで胸がきゅんとなる。一言も言わないのに、あからさまなふるまいもないのに、彼女に対してずっと「愛してる」という空気を醸し出している。ロマンスもののヒーローそのもの。こういう男の秘めた恋に、少女は胸をときめませるのだわ。私の好きな「ユスーポフ公」の惚れたポイントのほとんどがドミトリーに投影されていた。だからこのドミトリー凄く好みのタイプ。
それに!朝夏さんが、イリナやオリガにダンスに差し出す手の指の美しさ。もう惚れ惚れした。あれをやられて拒める女性がいるとは思えない、という優雅で洗練された動き。手の動きが美しい人は大好きだ。軍服を着たときのスタイルの良さ、あのマント。ダンスの美しさ。悩める横顔。イリナへの語り掛ける視線。素晴らしいです。
この役で朝夏さんが凄く好きになりました。って退団じゃないか・・・。残念すぎる。


大公妃イリナ(イレーネ)【セルゲイ大公妃、皇后アレクサンドラの妹】 伶美 うらら
ヒロイン。間違いなくトップ娘役の役割。ドミトリーの心の中にずっと大きな位置を占めている女性。彼女もたぶん、最初にロシアに嫁いできたときからドミトリーを愛していた。お互いに一目ぼれだったような・・それで同じ屋敷に住みながら、伯父の妻と甥として、ずっと言葉にできず、暮らしてきた。もし伯父のセルゲイ大公が生きていたら、一歩踏み出せたかもしれない。離婚できたら、国も身分もすべて捨てて知らない天地へ二人で逃げることができたかも知れない。でも死者が相手では裏切れない。
落ち着いた声で話す冷静な大人の女。品良く慎み深く、だれからもほめたたえられる美貌と貞淑を併せ持つ女性。ずっとずっと演技してきたんでしょうね。最後の最後にドミトリーと散歩に行ったとき以外。そんな女性でした。幸せになって欲しかった・・・ラストシーンは想像の余地が多くて、でも救い。
怜美さんがこんなに「人物」が見えるお芝居をしているのは、初めてかも。役が深く見えるときと、???が飛ぶときの揺れ幅の大きい方だから。でも今回ほど、人物の考え背景・感情が見えたのは初めてです。最後に代表作を創られたと思います!

元々こういう高貴な憂いのある美女は大好きなので、これからの活躍を期待したいのに・・・これで退団は残念ですが、退団だからこそ、こういう役ができたのだと思えば、代表作を残してくれた方が嬉しいので、納得してます。(衣装が銀河鉄道999のメーテルで、この衣装がこれほどに合う人は,そうそういないよ)
出番と役割でいえば、凰稀さん時代の実咲さんは、もっともっと出番も役割もない作品があった。そこまで比較しなくても他のトップ娘役がいる作品に比べても、この作品はヒロインの比重が重い。このイリナは絶対的ヒロイン、王道ヒロインだ。
怜美さんは好きな娘役さんだったので、退団が哀しい。こういう大人で高貴な美女はいま他にいるのかしら?いるなら探さないと寂しいもの。とにかく、イリナは怜美さんの魅力が花開いた一番好きな役です。


フェリックス・ユスポフ【ユスポフ家の嫡男、ドミトリーの旧友】 真風 涼帆
名門貴族の御曹司。彼は軍人ではないのですね。ずっとスーツを着ている。貴族の役割の議論も独特のポリシーで揺るぎなく、強い人です。彼は迷いがないから、強い。金持ちの遊び人だけど、考えはしっかりしているし、商才もあるようだし、ほんとこういう人を上手く使わないと国が亡びるわ!って思える人。皇族の婚約者がいたけど、ほとんど影響なし。遊びと結婚は別と割り切るタイプなので、家柄のよい大人しい美人と婚約したけど~という感じかな。私が嵌ったユスーポフ公は美人の皇族妻とのすれ違いに悩んでいたので、彼とは全然違う性格。私が嵌ったポイントはドミトリーが全部持って行ったので、「イケメン大貴族」しか残らなかったようだ。真面目でよく悩むドミトリーと相反する価値観と性格で、フェリックスは存在していた。せっかく対比で置いたこのコンビ、もっと対立したり友好を深めたりして欲しかったなあ。フェリックスの性格が明るく前向きだから、なかなか深刻にはなりそうにないか。
真風さんは本当にイケメンだ(史実もこんな感じのイケメンだ)。本当にかっこよくて、ドミトリーへの友情も感じられた。国に対する思いも感じられたけど、ドミトリーより合理的な分、少々薄かったかも。歌は良くなられましたよね!


皇女オリガ【ニコライ二世の長女】 星風 まどか
あの両親のもとで大切に育てられ、彼女なりに王女としての役割も知っている。けれど、それは皇室と国を守ることにならない、返って害だという意見を聞いて、それから初めて考えることをはじめた感じ。そして一度悟ると真摯に対応していく健気さは可愛い。惚れる。きっとドミトリーも協力してあげたいという気になったに違いない。ドミトリーは嘘は言えないから、オリガのことは愛おしいと思ってたと思うの。イリナは命を懸けて愛する女性、オリガは力になってあげたい可愛い妹?ラスプーチンの横やりが入らなければ、結婚していたと思う。そしたら運命は緩やかに変わったかもね・・。無垢な少女のように見えて、オリガも暗い感情を持った「女」だったから、あの結末。失恋した時「世界が滅べばいいのに」という感情を持つことは多いけど、彼女は、あの時「帝国ごと滅べばいい」と決意したのだなあ。意外に役割が重かったオリガです。

この作品、ドミトリーとイリナ、オリガがメイン。この3人を煽って背中を押すのがフェリックス。ポスターメンバーの4人で話を進めるとか、凄い娘役の比重が重い物語だ。


ここまでが主役クラス。


<皇太后派(ペテルブルクの貴族)>
皇太后マリア【ニコライ二世とクセニヤの母】寿 つかさ
皇太后の重々しさ、嫁との対立・・というより性格の合わなさがよくわかる役作り。息子にも厳しくて、その重圧から息子はあんなに気弱になり、あの嫁を選んだのでしょうね。息子夫婦との対立、ほかに息子がいれば、さっさと皇帝を挿げ替えそうな迫力、宮廷を牛耳っている感がでていました。でも息子や孫は愛していて、きちんと愛情も見せている。国を思うゆえのことなんですよね。根本的に皇妃と価値観が違うから、歩み寄れず、帝国崩壊へまっしぐら。強い姑と全く価値観の違う強い嫁、制御できない夫・・この作品を見ると、嫁姑問題でロシア帝国は滅びたのか!と思える。革命後もしたたかにアメリカで亡命生活をしているし、この人が皇帝だったほうが良かったのでは? というほどの強い皇太后でした。
しかし寿さん、初めて女役を見たけど、とても良かったですよ!たまに英真さんや夏美さんが女役を演じられてますが、寿さんも行けますね!


ジナイーダ・ユスポワ【フェリックスの母、女相続人】 純矢 ちとせ
さすがフェリックスの母だ。彼のあの価値観はこの母の影響が大きいだろうなあと思う。自由で貴族的で、でも自分勝手ではなく、息子やイリナや他人のことも気を配っている。ひっかきまわしている様にも見えるが、彼女や息子は、他人の秘めた想いがよく見えるんでしょうね、だから「もう~まどろっこしいわね!」とばかりに行動する。それがどういう結果をもたらすかは・・・、考え方が前向きなので(笑)
さすがイケメンの母は美人でした。この人、「女相続人」とあるから、嫁じゃないのね。だから皇太后と皇妃の争いにはあまり役に立ってない。


<皇后派(カールスコエ・ツェーロ)>
ニコライ二世【ロシア帝国皇帝】 松風 輝
穏やかで大人しい平凡な人物。彼が皇帝ではなく、地方貴族や豪農であれば、幸せな一生を送っただろうな~と思う。真面目で謙虚で善良。でも大局は見えず、国民の生活と命を預かり国家のかじ取りする能力はない。子供達には良い父親で、妻には優しい夫で、言うことないのに、皇帝でさえなければねえ・・と皇太后さまも思ったでしょう。妻が母や貴族たちにいじめられても、言い返すより二人でじっと耐えようとした感じ?味方して守っているけど、皇帝がそれではまずいでしょ。孤立するだけ。
昔ロシア革命関係の本を読んでいたとき、皇帝一家全員が捕らえられて銃殺され、その時の皇女たちの年齢を見て驚いた記憶がある。普通の皇族なら、長女や次女の年齢ならとっくに結婚している年齢では?と。彼女たちが列強の王族や自国の有力貴族と結婚していたら、その人脈で違う手も打てただろうに、助けてもらえただろうに。なんで?と中学生でも疑問だった。いろいろ読むと、この作品で描かれている様に、この一家は孤立してたんですね。だから他所からの縁談も無く、父親も「娘には好きな人と結婚して欲しい」と政略結婚は考えず、だから有力な親族が増えるわけもなく。庶民ならそれでいいかもしれないけど、良いお父さんだけど、皇帝なのにねえ。
松風さん、この作品にぴったりはまった皇帝陛下でした。


皇后アレクサンドラ【ロシア帝国皇后】 凛城 きら
ニコライ本人に惚れられて結婚して、ドイツから嫁いできて(史実はイギリス)、そのために姑たちからいじめられ、ねじ曲がってしまい、夫と子供たちと一緒に殻にこもってしまった。皇太子の血友病は、彼女からの遺伝(イギリスのビクトリア女王が保因者で、アレクサンドラは孫だよね。ビクトリア女王は子だくさんで、イギリスは結婚外交しまくったから、この時代のヨーロッパ皇族には血友病が多発したとか?一番の悲劇がこのロシア帝国だけど)
ラスプーチンがどうやって血友病の対症療法をしたか、いまだに謎。他に誰かいたら、皇后の彼への傾倒も防げたのにねえ。とにかく「家族を守る」ことに心血を注いだ良いお母さんですが、ロシアの皇后としては・・・という女性でした。
イリナとは姉妹には見えなかったし、そんな場面もほぼなかった。彼女の「家族」には妹は入ってなかったんでしょう。入っていたら、ドミトリーとのことに気付いて何とかしてあげた・・かな。愛情深い女性ですが、対象が狭すぎました。夫と子供たちだけ。皇后には相応しくなかった。
凛城さん、大役ですが女役。ちょっと声が低くて迫力あったけど、夫を支配しているところや、子供たちを洗脳しているところ、ラスプーチンへの狂信、とてもよくわかりました。


ラスプーチン【宗教家、呪術師】 愛月 ひかる
肖像画のまま!歴史の本にも「異相」と書かれているし、写真も長い黒髪を振り乱した凄い写真しか残ってない方。愛月さんがそれを凄く再現していて驚きました。漫画と同じだし(いや漫画はもっと「好色」も出してた。少女歌劇だから、それは削除だな:笑)
暗殺者が、毒を飲ませても、銃で何発も撃っても、剣で突いても死ななくて、ネヴァ河に放りこんだ。結局、死因は「溺死」とかいう伝説があるくらい、人間離れしたイメージある人。
今回は皇室への祟神のように出てきて、死後は革命軍の後ろに張り付いていました。そういう人外の存在として、際立っていました。愛月さんのちょっと濁った声が、ぴったり役に嵌っていて、素晴らしい怪演。「すごい」と思いました。


皇太子アレクセイ【ニコライ二世の長男】 花菱 りず
生意気な王子様、がドミトリーに諭されれ、あっという間に考えを改める素直で賢い子。この調子でドミトリーが姉婿として、彼を再教育してあげたら、かなり良い皇帝になりそうだった。でも血友病おため、小さなケガもさせないように、母ががっちりホールドしている限り無理そうだ。普通の家でも4人姉妹の後の長男は、過保護になりがち。それで病気だものね。よく母の目を盗んで外出できたと感心するレベル。ジプシーと仲良くなって、下々の感情も理解しそうだったのに・・・。
以後出番がなかったけれど、とても印象的な役でした。(二女のタチアナだけがエピソードが無くてく可哀想。それなら人余ってるし、三女、四女も出しておけばいいのに。)
娘役さんですよね、可愛かった。


<ジプシー>
ゾバール【活動家、ジプシー酒場のダンサー】桜木 みなと
人物紹介に「酒場のダンサー」と有り、4番手なのに?と思ったら、急進革命家だった。今回は革命のお話はなくて、皇室がメインの話だから、庶民代表がジプシーたち。そして革命家代表がゾハール。妥協を許さぬ厳しい思想で、皇族の支配する帝国を滅ぼそうとしている。
そのためには犠牲は厭わない。熱かった。この作品で一番熱意を感じた人物。
櫻木さんは貴族が似合いそうな顔立ですが、熱い革命家も素敵でした。


ラッダ【ゾバールの姉、ジプシー酒場の歌手】 瀬音 リサ
弾圧される側の人だけど、貴族の将校と恋をして、貴族にも一人一人人格と感情があることを理解し、無差別のテロを非難する。そのために、弟と対立し、結果幸せになれなかった。
このあとゾハールはさらに急進派となり強行に革命を勧めたんだろうな~ラッダの意図とは反対に。今回メインの二人(イリナとオリガ)にソロが無く、歌っていた娘役は、ラッダ一人。ラッダは凄く歌っていた。高音まで地声で歌えたら、さらに良かったと思う。切り替えガンバって!


ミーチャ【ラッダとゾバールの弟、ギター弾き】優希 しおん
ちょい役でもなく、アレクセイ皇太子とのエピソードがあり、役割が明確。貴族は全部死ね!なゾハール、貴族とはいえ無差別に殺すのは止めようというラッダと、暮らしやすい世の中になったらいいのにな~普通の庶民ミーチャ。この3人も対比が面白い。


<ドミトリー大公の周りの人々>
コンスタンチン・スモレンスキー【近衛騎兵将校、ドミトリーの同僚】 澄輝 さやと
ドミトリーの同僚はたくさん出てくるけど、ラッダと恋仲になる誠実な青年が印象に残った。(後はゴメン1度では見切れない)。ラッダは彼の誠意を知り、貴族にも色々な人がいるのを知り、もしかすると協力してよい国にできるかもしれない、と思い出す。でも、ゾハールは彼の誠意すら受け付けない。最下層のジプシーになじられても怒らないコンスタンチンは、本当に穏やかで冷静で良い男だと思う。最後まで、善良で誠実な青年でした。


家令ポポーヴィッチ【セルゲイ大公家の家令】 星吹 彩翔
イリナとドミトリーの心の内を知り、黙ってその関係を受け入れている人物。彼とイリナの会話、ドミトリーとの会話は、この家の歴史が見えるようで、深い。ちょい役ではなく、その話し方、態度が奥深く、良い味を出していました。


イワン【農夫】 風馬 翔
ドミトリーが馴染みの農夫。最下層の農民でも、交流を続けたドミトリーを慕い、大事に思ってくれる善良な人間。ちょい役ではない。イワンは、すべての農民が貴族を殺そうとしているのではない、心が交流できれば違うという人間らしさを示してくれた人物。こちらもいい味出してたわあ。

この作品は深い。イワンやポポーヴィッチといった役にまで、意味と役割がある。

タイトルは「神々の土地」。舞台セットの雪原が大変効果的に使われており、最後まで見るとこのタイトルの意味がよくわかる。そしてサブタイトルに「ロマノフたちの黄昏」。神々も、ロマノフたちもどちらも複数形なのね。「神の土地」でなく「ロマノフ家の黄昏」でなく。この複数形の意味が、脚本の行間にセットにものすごく練りこまれていると思う。初日なのでまだ書かない。全部が判明してないから。


上田作品は、台詞の内容と感情が違うことが多い。この作品でもそれが十二分に発揮されている。だから表情やしぐさが重要。服装や背景にも意味が込めてある。
そうそう、背景も大変美しかった。「黄金色の砂漠」の時みたいに綺麗。
今度は上から見てみたい。近くでも見たいけどそれは映像で。とにかく素敵。
一点だけいえば、ダンスナンバーが少ない。群舞をもっとメリハリ付けて場面転換時にいれてくれたら、さらに嬉しい。



90分でこの内容。さすが上田先生。もっと見てしっかり意味をつかみたいです!
そう思ってしまい帰りに窓口によって来週のチケットを買ってしまいました。
こんな衝動買いしたのは、長い観劇生活で初めてですって。




レヴューロマン 『クラシカル ビジュー』
作・演出/稲葉 太地


宝石というので、キラキラゴージャスだった。金色なのだ。
見たことのある衣装(金色キラキラ系)がいっぱい、金色ありもの総使用?というくらい。
いつものことですが、お芝居で脳細胞を使い尽くしたので、覚えているところだけ。

そうそう、なぜかこのショーを見終えて「花組・・・」「まっつさん・・・」と思い出しました。なぜ未涼さん?と思ってよく考えると。「インフィニティ」を思い出したから?船とコメディタッチのの探検隊、シンプルな黒燕尾をラストステージに持ってきたこと? 最後の曲がジュピターだったから「エバーグリーン」を思い出したの?とわかった。調べたらどちらも稲葉先生だった。私の脳は記憶力が良いのか劣化しててすぐに記憶層探すのか、記憶が宝塚で埋まっていてタグが付いているのか、よくわからない。


カッコよいショーでおおむね満足したのですが、デュエットダンスが無かったのだけが残念。朝夏さんに最後に優美に踊って欲しかった。(お芝居で踊ってたけどリフト無かったし。)
最後に朝夏さんのデュエットダンスを見たかった。相手役はもちろん怜美さんがいい。
男役同志のリフトやデュエットダンスはあったけれど、なんか違う。それはそれでいいけど、最後は黒燕尾と白ドレスでデュエットダンスしてリフトして!!と思いました。それだけが残念。

朝夏さんのソロダンス、以前も見たことがあったけど、やっぱり綺麗なダンスを踊る方だ。歌も良かった。歌は本当に上手くなられましたよね。最近宝塚を知り宝塚ファンになった方と知り合うと、みんな「まーさま」呼び。私一人「まーくん」。まーくん立派になったなあ~っておばあさんみたいな感想だ。まーくんは、最後まで私には「花組テイスト」を感じる人だった。現花組トップさんからは感じられないテイストだから、朝夏さんが花組トップで良かったのになあ~なんて思ってしまう(特に、実咲さんとトップ就任した時は思った。)折角宙に異動されたのだから、怜美さんと組んでみて欲しかった。この1作を見て本当に思った。大人っぽい美女と似合うのに~って。あのダンスの手の美しさ、それが私が感じる花テイストなのかもしれない。それはデュエットダンスでも抜群に発揮されるから、ぜひとも見たかったの・・・とまだ言う(笑)
ラストの黒燕尾になんの飾りもないシンプルなものを選ぶっていうのが、なんだか思い出すきっかけかも。クラッシックな重厚な雰囲気、シンプルな黒燕尾と白ドレス。稲葉先生が選んだのかもしれないけど、朝夏さん最後の黒燕尾がシンプルで、妙に嬉しかった。

真風さんも歌が格段に上手くなっていると感じる。時々??もあるけど、ほとんどはトップとして問題ないレベルに歌ってくれるから嬉しい。イケメンだし、髭とスーツの似合う男役は貴重だ。ぜひ大人の恋愛ものを・・・!(次回から芹香さんが異動してこられるんですね。都会のアクションものとか見たいなあって期待値が上がる)
今回は盗賊の場面がストーリー仕立てで面白かった。王冠を狙いに侵入したたら、タイムスリップしたみたいに、赤いドレスの美女(怜美さん→この二人も大人っぽくて好きなカップルだ)に翻弄されて。。。という場面。コメディかと思ったらシリアス。
シンプルな黒燕尾の場面も、大変素敵でした。シンプル黒燕尾が決まる男役はかっこいい!

怜美さんは歌が課題の美貌の娘役さん。あまりいないタイプだったので、入団時から私は心ひそかに応援していた。でもずっとずっと歌が上達しなくて。お芝居やダンスはそこそこになったのに、歌が残念だった。けど、「エリザベート」と今回で分かった。地声で歌えば歌える!お芝居では歌が無くて、ショーのジゴロ?な場面の最後、ソロで地声で歌っていたのは、とても良かった。ただ男役さんと一緒に歌うと、どうしても高音になるから、とたんに声が出なくなり・・・残念だ。怜美さんは、本物の男性と一緒の舞台の方が良いかもしれない。今回で退団ですが、外の舞台に出るなら見てみたい方です。


星風さんは今回初めて意識しました(今まで全然知らなかったよ)。可愛らしいタイプの、いわゆる娘役らしい娘役で、ソプラノの娘役歌がとっても上手かった。今回はお芝居もショーも可愛い娘役で、とっても良かったです。次からはトップ娘役ですね。


愛月さんはお芝居の時は良かったけど、ショーとなるとやっぱり声がちょっと独特なので目立ちますね。上の二人とは違うタイプの濃いイケメンで素敵です。下の桜木さんがノーブルな雰囲気なので、ワイルドな愛月さんとは良い感じ。


大階段の黒燕尾は大変美しかった。音楽がドラマティック、衣装も良いし、振付も凝っていて端正に美しい。朝夏さんは端正に美しく踊るから本当に似合っていて、これは何度でも見たい。

階段降りは、星風さんのエトワール(歌声が美しい!)、怜美さん、櫻木さん、愛月さんは肩掛け羽あり、真風さん、朝夏さん。やっぱりここは変則。
パレードでは、怜美さんがトップ娘役の位置にいた(大羽はないけれど)。星風さんが男役4番手の位置にいて、なんだかいつもより娘役の地位が向上したような(笑)これも変則?

ともかく、お芝居は絶賛、ショーも素敵!で、私はかなり気に入りました。
また来週行きます~


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パクチー

昨日、観劇してきました。
終演後、しばらく席を立てませんでした。
(邪馬台国の時は、終わったのかどうかわからなくて席をたてませんでしたけど)
脚本、舞台装置、衣装、楽曲、どれも圧倒的な作品でした。
唯一の欠点はつっこみどころが見つからないところ。
それくらい良かった。
「雉撃ちの丘」(「バロンの末裔」)もどきのシーンも、二人の心理を衣装、背景がともに表していて、息を止めて観ていました。
ドミトリーの就任の時の大階段を使った演出。
ラスプーチン暗殺も赤い大階段でたっぷりと。
クコチヒコもあそこまでとは言わないけど、もっとたっぷりと殺してほしかった(ひつこい)
まるで絵画を観ているようで、どのシーンを切り取っても美しい。
美しさはもちろんですが、怖さもすごい。
酒場でちょっとしたきっかけで、民衆のうねりがおこり(本当にうねっていた)おおきな動きになるところなど、革命というのはこういうものなのだと怖くなりました。
ラスプーチンも怖かったけど、横で太鼓をぶらさげて笑っている天使?がいることで怖さ倍増。
きっと、複数回観ればもっといろんなポイントがあるんでしょうね。
私も、スケジュール表とにらみながら観劇を検討中です。
邪馬台国がかなりのトラウマになっているみたいで、
中村暁先生にもう一度腹が立ってきました。
花組に使った時間とお金を返してほしい。宙組に使うから・・・。

ショーは「タカラヅカファンタジア」が好きだったので、
稲葉先生、期待していたのですが、
もうちょっとメリハリがあったらよかったのかな。
衣装も昔のショーみたいで、それはそれで懐かしかったです。
私は、芹香さんのファンで、自然と花組と比べてしまうのですが、
宙組さんはちょっと雑な感じにみえました。
ダンスもそろっていないし、娘役さんのスカートさばきもバサバサで。歌も、今回のショーを見る限りではスペシャリストがいないように思えました。単に使われていないだけなのかしら?
あと、久しぶりに観る真風くん、相変わらずの滑舌の悪さでちょっと笑えました。
でもそれも組の特徴で、元気な自由な組と思えばいいのかも。
今回芹香さんが行くことになる宙組の予習と思って観に行きましたが、観に行ってよかった。
前回組替えの予習で観に行ったのが「復活」で、ロシア物を観ることになったのですが、ロシア物は面白いですね。

by パクチー (2017-08-20 10:36) 

hanihani

こんにちは!初日に早速御覧になったんですね

大劇場は退団公演なのに初日とかでもチケットが取れやすくて
ちょっと羨ましいです。

24日にW観劇予定で行きます!色々目が離せない感じなので
楽しみですが、ちょっと怖くもある。
なんというか上田久美子先生の作品は幸せな気持ちで終わらない。
しかも心が大きく動かされるので、泣いたりしちゃいそうで
終わったときにはぐったりである。
さらに応援している人もみなくちゃならないし、新人公演のお役が
なかなか大変そうで、それはそれで新公も想像しながら観劇だから
トータルでものすごく疲れそう。

AfO月組には楽しみしかないので、微妙です。

宙組のスカートさばきとか下手ですよね。というかちっとも上手にならなくて不満です。
あと、あの辺とかあっちとかそろそろ何とかしてくれないと
本当に下級生の本公演出演のチャンスに蓋をしちゃっていて
全然使われないなら雪組においでよ!と誘いたくなります。

宙組に行くって、ききちゃんは大変だろうなぁと思って
これからも応援していきたいと思ってます。

花組新公終わりました。さらに伸びていて新公は週に1回くらい
観たい感じ。昔は代役公演とかあったりしてたなぁ・・・
(40年前とかだから、ばあさんの繰り言)

by hanihani (2017-08-21 12:24) 

えりあ

パクチーさん

良かったですよね~「神々の」は。大階段にレッドカーペット。就任式の場面はショーより萌えます。ラスプーチンの暗殺も史実と全然違ってましたが、とても効果的できれいだった。私はあの場面にユスーポフ公が居ないのがちょっと残念でしたが・・。煽るだけで手を汚さない気?って。

真風さんはダンディにかっこよくて(活舌も歌もだんだん良くなってきて・・ると思うし)、芹香さんとは雰囲気が合いそうで、お二人が組んだところが楽しみです。きっと花組にいたときと全然違う雰囲気になるでしょうね。


hanihaniさん
大劇場は東京にくらべりゃあそりゃ、取りやすいです。人口が違いますから。東京の一等地と、兵庫県の田舎だ。

「神々の」は私は、一応悲恋だけど救いのある終わり方だと思う。
宙組のショーは、私はダンスも不満かな~スカートさばきも全然だし(今度OSKで見てください凄いから>朝香さんのスカートさばき!)群舞の揃い方も、振付難易度も「すげー」までいかない。ダンスでは朝夏さんの手に感動した。お芝居の衝撃も大きくてショーはぼーっと見てたかもしれないけど(笑)次ちゃんと見る。
娘役さんがWトップの二人以外まだあまりわからなかったわ。男役さんもそんなにわからないけど。宙組見たのも久しぶりだし。

芹香さんは私も好きだから(マイヒーローで上手くて感動した!)、応援したいです~。
雪組は少年漫画?路線だったけど、今度は花組がこんど少女漫画路線なのね。懐かしいのばかりだから楽しみ。

新人公演2回くらいあってもいいよね~中盤と終盤に。代役公演って聞いたことある。いまはみんな忙しいから、代役公演のお稽古時間がとれないでしょうね。チケットは売れると思うけど(笑

by えりあ (2017-08-21 21:02) 

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