So-net無料ブログ作成

宝塚雪組「キャプテン・ネモ」大阪初日 [観劇感想(宝塚)]

宝塚雪組「キャプテン・ネモ」大阪
2017年9月16日(土)15時 初日 シアタードラマシティ 5列センター



雪組の半分、彩風さん主演の方を見に行きました。
東京で見た友人から「・・・・咲ちゃんは悪くないの!」と
いう感想が来ていたので、ああ谷先生に奇跡は起こらなかったか~と
覚悟を決めて見に行きました。

覚悟を決めていても、かなり厳しかった。。。谷せんせ・・・。
彩風さん、朝美さん、永久輝さん、久城さん、縣さんと
私の好みのタイプが勢ぞろいしているにもかかわらず、あれ?
あんだけメンバー揃えて、これですか?
と谷せんせーに対して怒りを通り越した脱力感しかない。

一言で言って、「古い」。すべてが古い。
テーマもストーリーも、演出も、台詞回しも、舞台装置も。
まるで昭和50年代。
あの若々しいメンバーに対して、この演技指導は。
先々月、星組「阿弖流為」を見た同じ劇場とは思えない空間の使い方。
スピード感が全然違う。人の使い方、場面転換や装置の使い方。

フィナーレがついていてよかった。本当に良かった。

201709雪ネモ.jpg

ネタばれあります。そして「良い作品だったわ~」という方はお読みにならないようご注意。




MUSICAL FANTASY
『CAPTAIN NEMO』…ネモ船長と神秘の島…
~ジュール・ヴェルヌ「海底二万里」より~
脚本・演出/谷 正純



あのメンバーでこの原作で、あの出来かあ。
谷先生はもうご登場いただかなくてよいです。
もう二度と「江戸人情物」以外は演出しないでください。
心からそう思いました。

まずテーマに共感できない。非武装非暴力で帝国主義と戦う!のはいい。きちんと思想と正当性を主張して、非武装非暴力で正面から帝国主義と戦うなら、大変立派な行動だ。(「キャプテン・ネモ」の主張は「ガンジー」にしか見えなかったわ。ガンジーみたいには戦ってないけど。)でも彼らの戦い方は、「敵が開発した最新兵器を盗んで、孤島でこっそり逃げてきたみんなをかくまう」って・・・それ抵抗運動でもなんでもないし。敵が国家予算を投じて開発した最新兵器を奪ったら、そりゃあ全力で奪い返しにくるって・・なのに甘すぎる防御体制。奪い取った最新兵器の使い方も、そのアドバンテージも生かせてない。敵が奪い返しに来たときどうするか考えてなかったの?というか出てきた案が、「消滅させる」って、いわゆる自爆。それってどうよ?って決着の付け方。まるで狂信的な宗教団体みたいな終わりの付け方ではないか。

帝国主義に虐げられた人々を「争いのない平和な島」へ匿う!のがとても良いことのように描かれていたけど、全然解決になってないと思う。匿われた人々が、虐げられ続けている現地で戦う人々の支援をするとか、帝国主義を崩壊させ虐げられる人々を開放する作戦を練ってまた戦いに出るとか、全然そんな話はなく、この平和な島で暮らす逃亡者のみんなが仲良く平和に暮らせたら幸せ!って価値観は、私には納得できなかったわあ。自分さえ良ければ、いまだ虐げられ続けている同胞の苦難はどうでもいいの????と思う。お花畑全開の皆様の仲良しごっこにしか見えない楽園。それってなんて「地上の楽園?」
なんだか、平和って唱えていれば平和になるんだ!っという現実を見ない思考のサヨク(いわゆる,ね)の理想郷のようで、誰も反論唱えないのが思想統一されているようで、そこが怖かった。異議を唱えたら「総括」って言って、本当に海に放り出されそうだった。
キャプテン・ネモを神のように慕う人々、島の人々とネモの場面は、まるで教祖様と信者のようだ。異端者が紛れ込んでも思想矯正され、仲間に取り込む。(本作ではなかったけど、矯正されない場合は、「彼は故郷へ帰った」と言われ。実は海に投げ込まれてるよな~)、というわけで、あのラストと言い、どう見ても狂信的な宗教団体の行動に見えたのでした。

「咲ちゃんは悪くないの!!!」といった友人の気持ちがよくわかる。彩風さんはそんな求心力のある人物が演じられるのに、狂信者に仕立て上げるとは!許せんな。


最大の違和感はテーマだけど、その他もあり得ないくらい古い
台詞回しがゆっくり過ぎる。しかも説明台詞が多く、一人一人の台詞がやたらと長い。会話になってないってことよ。順番に説明読んでるだけで、「会話」になっている部分はすっごく少ない。
さらに、黒い幕前に2人ずつ出てきて台詞いうとか・・ああ「ベルばら」式演出?
セットは動かず、文字通りお花畑状態(笑)。背景は書き割り。
世界中の人が集まったパラダイス、人種国籍に差別ない私たちエライ!って感じを出すためか、なぜか民族衣装の人が多い。いや「兵隊」以外は全員民族衣装。いつまでたっても民族衣装に拘るのは何故? そして、この島の気候はどうなってんの???(気象状態まで「理想の島」なんだろーか)リトアニアのあの女性は、夫と一緒に漁船に乗っていたらしいが、なぜにひらひらの祭り用風の民族衣装で?とこれも疑問だ。夫の仕事も知らないらしいし。夫もなぜそんな危険な任務に妻を同情させたのだろう?スパイのカムフラージュ作戦だったのだろうか?衣装も謎が多かったわ。
あと言語もね。インドのお姫様はどこかに障害があるの?というほどしゃべれない。モールス信号で話し出したときは、本当に椅子から落ちるほど驚いた。(当初から、侍女や侍従が普通に英語を話せるのに、なぜ姫だけ話せないのかも不思議だった。途中では、普通に英語わかる風だしねえ・・)かなりぶっ飛んだお姫様だ。辛い体験のために精神を病んでいるのだと理解するしかない。そのわりには・・もある(後述)。


まあ突っ込みどころは満載ですので、個々のところで書くことになるでしょう。
「咲ちゃんは悪くない。そのほかの人も全然悪くない。悪いのは、このメンバーを使ってこんな作品しか作れなかった谷正純、オマエダ!!!」
そんな結論しか出て来ない。もったいないにもほどがある。



ネモ船長【潜水艦ノーチラス号の艦長】 彩風 咲奈
長いストレートの金髪にロングコート。これはスタイル良くないと着こなせないよね!という衣装が多かった。下半身が痩せてスタイル良くなったよね♪ 衣装替えがあったのは、ネモだけなので、これは堪能した。ああ、褒めるところが衣装しかない・・。
あのセリフ回しは谷先生の指導なのでしょう、あんな仰々しく説教臭い演技は彩風さんの持ち味じゃない。彩風さんは演技力のある方だと思ってるし、割と何でもできるタイプになったなあと思ってるから。もっとスタイリッシュでかっこいいネモが見たかったよ。
とにかく、狂信的な平和教?の「完全無欠な教祖様」みたいなネモ船長には引いてしまう。脚本演出がそうなってるから仕方ないけど。もっと人間らしくいろいろ悩み、考え、個人としての弱さを感じ、仲間と力を併せ、自分たちの知恵と力のありったけで帝国を翻弄し戦い抜く・・というネモ船長が見たかったわ。死ぬときも、仲間を道連れに自死するのではなく、戦い抜いた結果の名誉ある戦死であって欲しかった。敵からもほめたたえられる人物であって欲しかった。
彩風さんの主演作は、前が「パルムの僧院」。あれもな・・・・だったし、今回がこれ。次こそカッコいい彩風さんの代表作となる主演作を、切に願う。


ラヴロック少佐【イギリス海軍将校】 朝美 絢
イギリス軍の海軍少佐で、最後までネモと対立する彼は、十分二番手に見えましたが、プログラムの写真が小さかった。なぜこの扱い?と思う大不満。(ラヴロックとシリルは、役の重みからも、スターの格からも、2人で1ページでもいいから。大きい写真にすべきだと思う)
彼は捕鯨船の難破事故の原因調査のために派遣されて、なのに間抜けにも沈没させられ、捕虜(?)の3人と彼だけが島に助けられた。あんなにたくさんいた部下はどうしたのか・・みんな死んでしまったなら、彼の心境は哀れすぎる。そりゃあ部下たちを皆殺しにした奴らを簡単に受け入れなじめないよね。簡単に国にも戻れない。ラヴロックが自分のアイデンティティたる軍服に矜持を持つのも当然だし。でも島の人々は、彼に軍服を捨てるよう強制するのだ・・彼の気持ちを全然考えない、自分勝手な押し付けだと思った。ここでも「軍人=悪人」思想が見えて嫌だったなあ。軍人を捨てるなら受け入れてやるって、傲慢さも見えたし。
ラヴロック少佐は、端正な美形で真面目そうに見えるし、良いお家の出で若くて出世している風だけど、拉致した学者の人違いに気づかないとか、戦艦を簡単に沈められたり、外部と連絡取れてないとか結構抜けているところがある。最後はとうとう洗脳されてしまったし。残念だが、そうしないと生きていけなかったからか。その後覚醒し(シリルもいるし)、彼の指導の下、島民の洗脳が解けることを願ってしまうわ。
朝美さんはお顔も姿も美しく、軍服がとても似合い(イギリスの紳士服も似合いますが)。一番台詞の声の通りが良かった。今回籠るような声の方が多くて、男役では朝美さんと久城さんくらいしか、声が通らなかったような気がする。
次回の大劇場公演からも大きな役が付くと嬉しいな~いっぱい見たい方です。


シリル【ロンドン・タイムズの新聞記者】 永久輝 せあ
イタリア人の火山学者と間違えられてイギリス軍に拉致された・・・ってことですが、本当のところはどうだったのでしょうね?ラヴロックは知らなかったみたいなので、シリルの方が一枚上手か? 明るく陽気で有能で、何があっても口先で逃れられる能力を持つ、こういう仕事にうってつけのランクの高い方ですわ。カッコいいし、只者ではない感が漂ってる。
最初の場面の長い長い説明台詞には参った。台本みたら1ページあるんじゃない?ってくらい長い。あまりの長台詞に声が籠る感じだったのが、ちょっとしんどかった。でも永久輝さんから今まで感じたことが無いので、これも演出(または演技指導)なのか。出番は多めだけど、途中全然出て来ないし(それはラヴロックもだが)、この役も出番次第で2番手、今回でも十分3番手だ。
脚本があかんので、話にまとまりないけど、ラヴロックとシリルをもっと上手にネモに絡ませられたら、いい話になるのにねえ。
永久輝さんは、フィナーレのダンスナンバーになった途端、イキイキしまして、そのダンスに見ほれました。2幕の最初と最後に、彩風さんのソロダンスがかなーり長いことあったけど、なぜ朝美さんと永久輝さんを両横に配置しないのか!と叱責したくなりました。永久輝さんのダンスは値千金だ。


レティシア【海洋気象学者】 彩 みちる
この時代に職業婦人だし、早くに両親を亡くして一人で生きていってるし、かなり気の強いしっかりした女性なんでしょう。彩さんの外見が若くてお嬢さんっぽく見えたのが残念ですね。この作品、ネモ船長ももっと年配(ダンディなオジサマ)でレティシアも、頭の良い大人の女性なら、もっと良い話になったかも‥‥知れない。けど、彩レティシアは、可愛くてわがままな若い女の子にしか見えず。モリエ博士との会話は、「おとっつあん!なんであたしとおっかさんと置いて、出ていっちまったんだい!」という江戸の村娘にしか見えない。
台詞も台詞回しも、まるっきり江戸時代に感じた。おっ母さんが病死した後、村でひとりで健気に田んぼを守ってた村娘、代官に連れていかれてそれっきり生き別れのお父っつあんと巡り合えた、という雰囲気でした。考えが浅くて幼いの。
また最後に、潜水艦に乗り込んでくるとか、わがままも極め付き。自分のことしか考えてないですよね。父の気持ちも、ネモの気持ちも、ネモをあがめる島人の気持ちも、まるっきり無視で、自分の気持ちだけを優先している。他人への思いやりがなく思慮が足りない娘さんだなあ、と感動っぽいラストシーンで虚しくなりました。
彩さんは可愛くてヒロインタイプの娘役さん。声が綺麗に通り、聞きやすかったです(台詞の内容はともかく)


ラニ【インド藩王国の王女】 潤 花
イギリスに反抗して滅ぼされた藩王の娘。おつきに守られ逃亡し、ネモに助けられ島に来る。心を病んでいるようだ。ろくに言葉もしゃべれない(設定)。彼女はこの安全な「地上の楽園」に逃れたけど、彼女の父や先祖代々が治めていた藩王国の人民はどうなったか、考えないのでしょうか。まあ心弱い女性なので、そういうことを考えろというのは無理として、それなら、未知の侵入者、しかも「イギリス海軍船の生存者」の最初の出迎えにラニを行かせるのもまた無理でしょ、どう考えても。イギリス軍にトラウマがあり、英語もできないのに。そのあたりの設定が、あまりに無茶苦茶で萎える。そのとばっちりを受けるラヴロック少佐が可哀想すぎるわ。
可愛くて目立つ役。雪組次世代娘役ポープなのでしょうね。


アラン・ド・モリエ博士【フランスの潜水艦設計者】 汝鳥 伶
潜水艦の設計をやっていた科学者でロシア帝国に拉致されていた、らしいがネモと一緒に逃亡。もともとの基本メンバーのようだ。ネモ教祖様の片腕という感じ。
もう「お父っつあん」にしか思えないせりふ回しで、父と娘の会話が進む。なんと「お涙頂戴」なのでしょう。その場面に結構な時間が割いてありまして、参りました。
作中この人が一番可哀想な人生かも。自分の身勝手が招いたこととはいえ、娘まで一緒に自爆・・悪夢の最後だったでしょうね。


ジョイス博士【アイルランドの海洋学者】 華形 ひかる
途中までは説明要員として出番がありましたが、地上の楽園にきてすっかり思想に染まってしまい、その後はあまり出て来なくなりました。なんだったの?という役割。ネモの後の島の指導者という役割はラヴロックに取られてしまい、ただの住民になるようだ。
この役、わざわざ専科から華形さんを呼ぶ必要があったのだろうか?と思うほど、途中から忘れられた役だったと思う。


フローレンス【イギリス人の看護婦】 舞咲 りん
島のお花畑思想を保つ役割はこの方が担っていたと思う。ネモの思想にとても忠実だ。異分子を見つけたら、上手に探し出し、矯正または排除する役割か。島人の監視役みたいな。ネモの狂信説教も怖いけど、フローレンスの狂信者ぶりも怖かった・・笑顔の裏があるみたいでさ。
舞咲さんの声もよく通るし、ホラーな芝居も見てみたいなあと思いました。


レム【ポーランド人の航海士】 久城 あす
ネモ軍団の一番の部下。大変忠実に、ネモの意思に沿って行動している。島の人たちは民族衣装なのに、彼ら潜水艦メンバーは揃いの「軍服」を着ているのよね。軍隊嫌いなくせに、自分たちは良いのか~とか思ってしまいました。レムはネモ船長に心酔しており、たぶん一番最初から傍にいたメンバーかと推測される。フローレンスと並ぶ忠実な部下でした。
久城さんの声は大好きで、よく通る。もっと活躍して欲しい方です。


ヴェロニカ【リトアニア人】 野々花 ひまり
夫と一緒に漁船を装った偵察船で特殊任務についていたが、ネモたちに間接的に撃沈されて一人だけ助かる。夫の任務も正体も知らなかった様子。なぜリトアニア人?ロシアがロシア人以外を使い捨てにする非情な国家ということを知らしめる設定でしょうか。
漁船に乗るのにあの衣装・・とも思うし、彼女は元の思想で頑張って行動してましたが、結局、失敗し、思想矯正されてしまいました。ああ、こうやって取り込まれるんだ・・という例でした。野々花さんも、次世代娘役のポープなのでしょうね。可愛いより狂気のある役だったのですが、大変目立つ役でした。


モレーナ【ハンガリー人】 愛 すみれ
特に何をしていたわけではなく、彼女の過去も全く語られなかった。ただ歌い、説明する役目。歌が良いので良いです。はい。


ペトレンコ【ウクライナ人の機関長】 真地 佑果
ネモ軍団のひとりでかなり目立っていた。レムが参謀なら、彼は実行隊長でしょうか?


ミーシャ【ロシア人の電気技師】 彩海 せら
たまたま潜水艦に載っていたので、一緒に拉致されてきたロシア人らしい。この島ではロシアは嫌われている、だが島の仲間たちは、ロシア人ですら仲間として受け入れているよ!ということを示すための存在か。一番下の立場のようですが、そのために目立っていました。



フィナーレ
少しですがダンスナンバーがついていた。良かった~これが無かったらもう(以下自制)。
咲奈さんはカッコいいし、永久輝さんのダンスは絶品。朝美さんは美しく。
他の男役さんたちもイキイキ踊り、本当に良かった。見ごたえがあったのよ~
娘役さんも綺麗にダンス・・だがドレスの裾はもう少し美しくさばいてほしい。
ちょっと雑かな~と思うところが。あまり揃ってないし。
あと、幕開きとフィナーレに咲奈さんのソロダンスが延々とあったが、あれはいらない。咲奈さんは好きだけど、ダンスの人ではないし、そんなにソロダンスばっかり見せられても・・・ネモの孤独感を表現していたの?でもそれより、仲間である男役を率いるダンスを見たかったわ。



色々書きましたが、ほとんど全部!谷センセ、あなたに言いたいことばかりです。
本当に、「邪馬台国の風」以来の憤りを感じました。しばらく良い作品が続いたので、久々です。こんなの。あのメンバーでと思うとさらに悔しさ倍増。
やっぱり演出家は大事だ。最近油断してました・・・。






nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント