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宝塚星組「霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS~星たち~」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚星組「霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS~星たち~」
2019年1月12日(土)15時 1階22列


宝塚ファン歴の長い私ですが、「霧深きエルベのほとり」は今回初めて見ました。
かなり古い作品なのは分かってましたが、上田久美子演出という文字に期待をして。
たんですが、リメイクされてないですね。古いままという印象です。
「古き良き」を生かしたのではなく、「古いまま」。それを一番現代的な紅さんが演じる。
うーん、もう少しセリフも演出も、現代に合うようにリメイクしてほしかったです。
かっこいいのはフロリアンとトビアスとヴェロニカだけやん。

ショーは、観ていて雪組の「ゴールドスパーク」を思い出した。そういえば同じ中村S先生。
今回はJ-POPばかり。すごく多い。疎い私でも知っている曲が多々あり。
宝塚でJ-POPそのままというのはあまり好きじゃないわあ。
衣装によっては、カラオケ大会みたいに感じてしまうの。
宝塚風アレンジを効かせて、「元の曲は・・」といわれて「ああ!」となるくらいにしたのが好きだ。
礼さんは歌を聞かせますね。「おお!いい歌声」と思ってみると全部礼さん。
瀬央さんがカッコよくて印象に残りました~押し出しが強くなった?
スタイルイイ人がいる!と思ってオペラグラスを上げると極美さん。
結果的にショーでは極美さんを追いかけてしまいました。
綺咲さんは愛らしい美人で、声も綺麗だわ。
可愛いイメージだけど、今回のショーみたいに大人っぽいほうが似合うと思いました。
でも全体にキラキラしていて、場面も多彩で、色彩が割と綺麗で、客席降りも多くて楽しかった。


201901星エルベ.jpg

ネタバレあります。マルギット好き!なら要注意。

Once upon a time in Takarazuka
『霧深きエルベのほとり』
作/菊田 一夫
潤色・演出/上田 久美子

名家の令嬢が、親の決めた道に反抗して家出し、貧しい船乗りと祭りで恋をして、彼を連れて帰宅するも二人の育った背景・価値観のあまりの違いに、彼が身を引く。自分はなぜ捨てられたのか分からず彼を追うが追いつけず、熱い恋の思い出を胸に、結局はもともとの婚約者と・・・という物語。
主役から書けば、祭りの時期に港に停泊し、身分も財産もないけど自由気ままに楽しく生きてる船員が、祭りのマジックで家出令嬢と恋に落ち、彼女と幸せな恋人となる。が、彼女のテリトリーでは自分が自分らしく生きていけず、またあまりのお嬢様っぷりに自分のテリトリーに連れてくることは不可能だと悟り、彼女の幸せを願い自ら悪者となって身を引くことにして別れる。うーん、男の純愛。
こんな話だったと思う。ストーリー的には悲劇の王道ですね。名作だと思う。けど、現代の価値観からすると、書き込みが甘いというか足りないところがいっぱいあったように思った。
それは、令嬢の心情について。多分昔の初演当時は、こういう名家の令嬢や元令嬢の奥様ばかりが観客席にいたから、「私も家を捨てて燃えるような恋がしたい!」という思いを受け止め、かつ「でも自分の世界で親の決めてくれた素敵な夫と生きていくのが幸せなのね。」といまの人生を肯定し、さらに「わざと悪者になって去った優しい恋人は、私を一生愛してくれるといって私のために(ほかの女のいない)海に去ったの(その思い出を胸に!!)」という感じで、今の人生に満足して生きていくための、冒険したくてもしてはならない立場の女性たちの代替的な体験のための演目として作られた・・・・・と解釈した(笑)

作中のマルギットの態度、ひどいもの。フロリアンも指摘しているけど、無意識にカールを下に見ていて、バカにしている。初めてであったときから「あなたは私と恋人になって、ひどい目に合わせて捨てるのでしょう?」と何度も言っている。この言葉の裏には、「で、ひどいことってなに?わくわく」って雰囲気があり、「捨てられたら(←意味わかってない)家に帰ればいいわ」という無意識の甘えが透けてみえる。「家出」に覚悟が見えず、ただの「ちょっとした冒険」なのが良くわかる態度。カールにはそれが最初から見えている。だから最初は、「危ないなあ~放っておけない」という優しさから付き合い、自分の言うことを面白がってくれる毛色の違う無邪気なお嬢様にだんだんと惹かれてきて・・「もしかして本気で俺のこと好きなのか?」と思い、彼も本気になってしまったという感じに見えた。(でも彼も本気になったとはいえ、彼女のために自分の生き方や価値観を変える気はなかったので、やっぱり親切心から出たアバンチュール幻想だったのかな・・・)
マルギットの態度を見ていると、このまま夫婦を続けたら、社交界中の全員から嫌われ(だってカールの態度が失礼だといった紳士に腹を立てるカールに「私が謝らせるわ!」というくらいだもの。アンタ何様よ?)、やがて「どうしてみんな冷たいの?仲間外れにするなんてひどいわ」となり、そのうちカールに対して「私が一生懸命あなたみたいな人が社交界に受け入れられるように頑張っているのに、あなたもシュラック家の当主らしくしてよ」と文句を付け出し、「やっぱり育ちが」とか言い出しそうな雰囲気がある。フロリアンは、既にマルギットの傲慢を指摘しているくらいだから、それに気づいてるんだろうな。今までもかなり苦労してマルギットを守っているみたいだし。マルギット父の親友の息子とはいえ、家格・資産からしたらかなり下で、実家のために何としてもマルギットと結婚し、シュラック家の当主になければならない立場なのかなあと思ったくらいだ。育ちは良いけど苦労人に見えるのよ。
というわけで、シュラック氏も夫人も、フロリアンも、カールも、シュザンヌも、みんなマルギットのことを思っていろいろ動いているが、当のマルギットは自分の気持ちでしか動いていないというのが、すごいなあ~と思ったのでした。この周囲すべてが自分を愛し優しくしてくれていることが当然であるという純粋無垢な赤ん坊のような無邪気な愛らしさ、無神経な傲慢さこそが「深窓の令嬢」の証なのかも・・と、「女三宮(源氏物語)」を評する言葉を思い出したりしたのでした。

これは男の純愛物語。愛しているからこそ、身を引く。すべてに恵まれ、飛び切りのいい男(カールとフロリアン)を含む登場人物全員に愛される令嬢マルギットに自己投影し、自分を愛して身を引くイイ男(カール)との悲恋を、自分に寄り添いその恋心ごと愛してくれるイイ男(フロリアン)の腕の中で涙する演目なの。この系統の再演なら、王道である「男はつらいよ」を海外に翻案した新作にしたらよかったのでは?と思うのでした。「Shall we Dance?」みたいに。あ、それがこの作品なのかしら。じゃあ、現代風に!を付け加えてリメイクしてほしかったです。脚本の古い言い回しのセリフもそのままだったし。上田先生、仕事してよ!と思いました。



カール・シュナイダー/紅 ゆずる
貨物船の船員。ビア祭りの期間停泊していたハンブルクで、家出のお嬢様と恋に落ち、彼女のために悪者になって身を引き、海に帰っていく。上にも書いたけど、なんとなくフーテンの寅さんを思い出す役作りでした。いい人すぎるイイ人だけど、自覚してないけど自分に誇りがあって自分を曲げないから、マドンナの世界の人になれない。いい人だから彼女を恵まれた場所から引き離せなくて、彼女に苦労をさせたくなくて、身を引く。いい人だけどどうしようもなく不器用な男。それが寅さんだ。今回の紅さんはスタイリッシュな容姿になった寅さんに見えたわ。元の作品がそうなんだろうなあと思う。
カールは自分とは違う世界の、飛び切りのいい男。ほんと寅さんのようないい男なんだよね。今回、見た目があまりにスタイリッシュな現代風のかっこいい男で、タキシードを着ても決まるし、ちょっと「寅さん的良さ」が薄れたかも。寅さん風の容姿というのも宝塚スターに向いてないけど、そのくらいのほうが嵌ったかもしれない(まんま寅さん映画だ)。宝塚だから、令嬢が惚れる男はイケメン以外ありえないものね。紅さんは言葉遣いを寅さん風にして、ずっと酔っ払いのような動きで、それを表現してましたね。最初はビア祭りで酔っ払ってるんだ~と思っていたけど、シュラック家に行っても、酒場以外でもずっと品がなく姿勢悪く酔っ払い風の動きをしていたので、ああ住む世界の違いを表現してるんだ~と理解したのでした(違ったらごめんね)
しかし、トップスターにこの役って、いいのかね~とも思う。かっこよくないところが良いところ、って役だから。宝塚的にはフロリアンのほうが王道イイ男だよね。紅さんは「ANOTHER WORLD」もそうだったけど、あまり宝塚の主役らしい役よりこういう役が似合うのかな。
あとは、紅さんが下品さを出そうとしてだと思うけど、セリフが大声怒鳴り口調の一本調子で、ちょっと聞いていてしんどかった。ヴェロニカに対する最後の場面だけは、すごく良かったけど。伴奏無しの歌も、重要場面(最初と最後)だけに、もっとしんみり聞かせてほしかったです。


マルギット・シュラック/綺咲 愛里
深窓の世間知らずの令嬢、なんだろうけど、頭のネジが2~3本足りないの?という感じにも見える。考えなしというか、ナチュラルに失礼というか。恵まれた令嬢ゆえの傲慢さ・・・。本作中、一度も己の行動を反省していないように思った。彼女の我儘で考えなしの行動から、父とシュラック家、フロリアンの上流社会の評価は最低になり、妹の心は傷つけられ、カールのプライドも心もズタズタにされた。なのに、「お父様が悪い、フロリアン嫌なこと言わないで!カールはどうして嘘をつくの?ひどいわ!!私、傷ついた」という雰囲気。周囲の人が彼女を思ってした行動も思いやりも配慮も全く無視。なんだかな・・・美しい天使のようなお嬢さんだけど、中身は。
カールに惚れた理由がわからなかった。フロリアンも聡明でいい人なのに、なぜ寅さんに惚れたの?マドンナの心境なんだろうなあ。親への反発心から、別世界の男、それでも本能で「いい人」を見分けているあたり、なかなかの女だ。ただ家出した理由も良くわからない。フロリアンが嫌いなようにはみえないし、妹の恋心にも全く気付いていない様子。継母の気遣いにも無頓着。当然、父の心配は「余計なお世話」で大反抗期。性格も頭も悪すぎる・・・容姿は天使のようなお姫様だけど、物事をを考えないんだ。意地悪とか黒いところがある性格の悪さではなく、天真爛漫ゆえの我儘と他者を思いやらない傲慢さ、幼さ。赤ちゃんじゃないのにこの性格は極悪レベルだと思う。周囲にいて欲しくないタイプ。
あのまま、カールではなくお金目当てのジゴロに騙されて、シュラック家の家族を謀殺され財産を乗っ取られて追い出されるか、はたまたカールと一緒に家を捨てて田舎で農婦になって労働して貧乏生活を味わってほしかった。きっとどちらになっても「こんなはずじゃないわ!!」と大騒ぎしフロリアンに泣きつきそうだけど。
と、マルギットの悪口を書いてしまいましたが、舞台の上の綺咲さんは大変美しくて、白いドレス姿は天使のような令嬢で、カールが一目ぼれするのも、フロリアンが振られても嫌いになれないのも分かります。口調も天真爛漫の幼さがあり、可愛らしくて、5~6歳の幼女のよう。幼子の純真さを今ももつ愛されたご令嬢なんですね。この役に説得力を持たせた綺咲さんはぴったりでした。


フロリアン・ザイデル/礼 真琴
上のほうでも邪推しましたが、マルギットとは幼馴染で、いずれは彼女の婿となりシュラック家の当主になるよう教育されている人。父親同士が親友とはいえ、立場的にはかなり弱そう。なんとなく・・・父親同士は名門学院の同級生だけど、シュラック氏は名門の嫡男、フロリアンの父は優秀な奨学生で、在学中彼を支えた・・という関係に見えた。それが子供の代にも影響しているような。
聡明で謙虚で良い人なんだけど、親に言われた通りにマルギットだけを見ていて、その妹シュザンヌに対する態度はひどすぎると思う。マルギットに対してはあれほど注意深く見ていて、カールのこともいろいろ気づくのに、なぜシュザンヌの気持ちは無視するかね?シュザンヌの母は元メイドか何かで、社交界では暗黙の了解で見下されているのか?なんて思ったほどだ。
それ以外のフロリアンは、かっこよくてタキシード姿も立派で美しく、誠実で男らしくて、ピアノも上手な上流育ちで、非の打ちどころがないイイ男。カールとの熱い恋の思い出を胸に抱く妻マルギットを一生愛して守っていくのでしょう。こんな理想の夫、いますか?ってほどだ。
礼さん、かっこいい男役になったわ~と思ってみていました。歌は素晴らしくて、芝居も良く心情が伝わってきて、立ち姿も素敵でした。


シュザンヌ・シュラック/有沙 瞳
イイ子なんだよね・・お姉さまに遠慮しているし、家族に気を遣って言いたいことも言えない。健気なお嬢さんだ。姉よりよほど頭が良くものを考えている。今回、姉妹の関係が全く出てこなかった。姉は妹を無視している。実はこの点からも、マルギットが嫌いなのですわ。自分の恋心も抑えて苦しみながら、あんなに姉のことを心配しているのに、姉は妹のことを全く顧みなかった。一度も。うまく立ち回れば、出奔してふしだらなことをしでかした姉を追放し、フロリアンと結婚して家を継ぐこともできただろうに。そんなことは考えてもいない良い子だ。
自分勝手な姉が戻ってきて、フロリアンと結婚して家を継ぐようなので、シュザンヌは針の筵ですね。さっさと家をでて、素敵な男性と結婚して遠くへ行って幸せになってほしいです。
有紗さんは健気な妹お嬢様がとても良かったです。強気の女役が続いていたので、久しぶりに正統派ヒロイン的な役を見たような感じです。フロリアンと二人、歌も良くて、お似合いに見えてしまいましたわ。


<上流社会>
ヨゼフ・シュラック/一樹 千尋
名門シュラック家の当主。貫禄あります。マルギットが大事な大事な跡取り娘だということが伝わってきました。でもね、もうちょっと現妻と妹娘を大事にしてあげて欲しい。姉娘が家を継ぐ器量がないのを分かって、用意周到にフロリアンを婿養子に迎えるつもりだったのは良いけど、妹娘を無視しすぎだ。姉娘は愛した妻の子で、現妻は元メイドか何かで特に愛していなかったけど、妻に去られた後に相手にして、子供ができたので男子ならと思い結婚したら、生まれたのは娘でがっかり・・って感じなのでしょうか。姉娘に対しては、家出して船乗りと結婚する!と帰ってきたら、受け入れるそぶりは見せるし、彼女を思って手を切らせようとしているし。イタセリツクセリで決して見放さない。愛情あふれた父ですね。その愛が重くてうっとおしくなって家出されたのかもしれません。彼はこの後も変わらないでしょう。
一樹さんは古い言い回しが似合うような時代がかったセリフ回しで、重厚感を出していました。シュラック氏とホテルのおじさんだけが、初演時代のセリフ回しだった(ように感じた)。だから他から浮いてるというか、本当は全員がこういうセリフ回しにする必要があったのかな?と思ったくらいです。

ザビーネ・シュラック/万里 柚美
夫と姉娘に遠慮しまくり。娘を置いて出奔した前妻の娘なんて、いじめてやればよかったのでは(言い過ぎ)。自分の娘は連れ子なの?なんであんなに親子とも小さくなっているのかわからないくらい存在が薄い。省略された事情があるのか?(と思って、上記の元メイド説を思いついた)。マルギットの態度や発言から、彼女はザビーネやシュザンヌを嫌っているように思えた。事情がある妻だから、マルギットに厳しいことを言えず、自分の思うとおりにする夫と姉娘の間でハラハラするしかないのかな。実子の妹娘にはいろいろなことを我慢させてそうだ。
美人なんだけど、ほとんど何も言わない。何もしない存在感のない夫人でした。


アンゼリカ・ロンバルト/音波 みのり
思わせぶりに出てきたカールの元恋人。貧乏ゆえに実家のためにお金持ちのロンバルト氏と結婚し、カールを振ったという女性。まあ、前作のマドンナというところでしょうか。彼女との過去話がもっとあるのかなと思ったけれど、ほとんどなかった。「カールはイイ人説」を裏付ける一つの証左となっただけでした。カールは、マルギットと同じようにアンゼリカも愛したのでしょうね。そしてアンゼリカのために、彼女の行動を認めた。いまはただ彼女の幸せを喜んでいる。ほんとイイ人。一方のアンゼリカの心境はどうなのかな?カールを愛していたけど、自分から裏切って別の人と結婚し、幸せに暮らしている。それを心から喜んでくれている愛しい男カール。自分のことは棚に上げ、だけど彼にとっても自分とのことは過去になっていて、次の恋人マルギットを熱愛している。やっぱり複雑でしょうね。未来のマルギットの心境なんだな~って思いました。

ロンバルト/輝咲 玲央
その夫。カールとの悲恋をしらないような、知っていて不問にしているような、わからなかったです。とりあえず、アンゼリカにとっては優しい夫で、良い夫婦関係を築いているように見えました。
この人が酷い男だったら、再会したときカールが見抜き、アンゼリカも助けを求め、カールなら放っておけないからきっとまた恋が燃え上がって真実の愛再び!になったような気がする・・・話が変わるな(笑) ともかく「親の決めた結婚は幸せになるんだよ!」って言いたいのかと思いました。


アドリアン・エルメンライヒ/極美 慎
ローゼマリー・マインラート/星蘭 ひとみ
カールとマルギットの対比のために置かれた正統派上流階級カップル。大変品よく姿も美しいコンビでした。極美さんの等身バランス凄くて、いつも成瀬さんを思い出すのでした(超個人的感想)。

エドガー・クライン/漣 レイラ
上流階級の方ですが、割とセキララにカール批判をしていた方。ほかの紳士淑女は陰でコソコソいう暗いですが、彼だけは面と向かって言ってましたので覚えました。正直で男らしい方なのですね。


<ハンブルクの酒場プロ―スト>
ヴェロニカ/英真 なおき
酒場の女主人かと思ったら違った。海に消えた恋人を待って一生を棒にしてしまったというような半生が語られていた。マルギットの実母の話が出た時、一瞬「ヴェロニカが母?」と邪推してしまいましたが、別人ですね。考えすぎた。(マルギットの実母は居場所も生死も不明なままスルーですね~この辺割とみんないい加減)。
結構な年齢で、おばさん。だけど酒場で若い子に交って働かざるを得ない人生。ガード下の小さなバーのママみたいに聞き上手で、人生相談したくなるタイプの女性だ。だからカールも彼女には真剣に自分の心情を打ち明け涙を見せた。あの気配り男が号泣するとは、本当に包容力あふれるイイ女なのだろうなあと思う。
英真さんの女役は驚いたけど、似合ってました。あの荒んだ感じと包容力はさすがだ。

デュッケ/瀬稀ゆりと
酒場の主人。船乗りや町の人、従業員の女の子たちから慕われているし、いい親父さんなんだろうなあ。特に何をというわけではないけど、人情のある港町の酒場の親父というのが良く伝わってきて、彼こそが、カールが生きている世界を象徴しているように見えた。


<ハンブルクの町で>
トビアス/七海 ひろき
貨物船フランクフルト号の船員で、カールの友人。カールと同じ世界を代表する男として描かれているように見えた。彼は祭りを楽しみ、田舎から出てきたカールの妹ベティと結婚を決め、自分の生き方を変え、船を降り農夫になる決意をする。堅実で地に足ついた幸せな人生を歩んでいく男にみえる。情に厚く恋多きカールのあこがれかもしれないなあと思いました。
今回の船員の中で一番目立ってました。かっこよくて、荒いけど優しくて、ベティが惚れるのも分かります。七海さんこれで退団ですね、良い役だったと思います。

ベティ・シュナイダー/水乃 ゆり
カールの妹。可愛い田舎娘。ほとんど兄に会えてないし、何しに来たの?という感じになってますが、間接的には兄のおかげで良き夫を見つけられたので結果オーライですね。
可愛いのに、なぜ訛っているの???カールは全然訛ってないのに。田舎者って言いたかったのかな。別に田舎者設定なくてもいいのに。しっかり者の妹で。寅さんの妹といえば、さくらだよ(笑)

ヨーニー/天飛 華音
スリか何か酒場で悪さをして主人につかまっていた。女たちに逃がしてもらったけど、感謝も謝罪もせずに「船員に雇ってくれ」だって。その後もかなり生意気な発言が多く、ずっと怒鳴っていて、よくわからなかった。多分、カールを慕う「カールを思わせる」子供の役で、でも育ちから素直になれず悪態をついてしまう・・という設定だったと思われる。だけど、裏の心情が全然見えなくて、悪態つく悪ガキにしか見えなかった。男役さんの子役は厳しいのか、演技力がいまひとつなのか、ちょっと残念でした。

オリバー/麻央侑希&マルチン/瀬央ゆりあ&エンリコ/紫藤りゅう&リコ/天華 えま
貨物船フランクフルト号の船員たち。それぞれ個性があったと思うけど、トビアス以外は特に役割がなく、ひとまとめに扱われていた。役者を見ると星組のスターレベルの方々。そんな扱いでいいだろうか?と思うけど、宙組でも同じだったし、そういうものかもしれない。もったいないねえ。


ホルガー/美稀 千種
エルベのほとりのホテルの亭主。古き芝居そのまま。人情モノという雰囲気を一人でだしていた。
いや一樹さんと美稀さんの二人だけが、古き時代そのままのお芝居だったと思う。この二人のセリフせいで「男はつらいよ」シリーズにしたらいいと思ったというのもある。カールの役作りも寅さんだったけど、周囲の人々もいけるやん!って。
主役カップルに話しかけても全く相手にしてされず、一人語りで延々と人情を醸し出す役割。そしてそんな二人の世界に浸りきるバカップルを、頼まれもしないのに追っ手からかばってあげる親切な人。・・そんなわけありカップルばかりが訪れるホテルなのだろうか?警察嫌いなの?と思ったのでした。

カウフマン警部/天寿 光希
名家の令嬢誘拐事件?のために駆り出されて走り回るが、町の人々から嘘つかれまくり、無駄足を踏まされる可哀そうな人。でもレストランではちゃんと活躍して、令嬢を確保し誘拐犯を逮捕しました!と胸を張ったところで、当の依頼人から、「うちの名誉にかかわるので大げさにするな」と責められる。公務員はつらいなあ~ともかく、いろいろ可哀そうな役目の人でした。
天寿さんにしては活躍の場がなかったですよね・・。


お芝居のお祭りの場面で客席降りがありました。降りでなく上りかな?ワーッと出てきて舞台に上がっていく。今回は1階の通路前の席だったので、とてもお得でした!
冒頭祭り場面がショーのように続いていて、それは楽しかった。でもあの時間をちょっと削って、もっとカールとマルギットが恋に落ちていく場面や、アンゼリカとの過去、マルギットとフロリアンの関係なんかも入れてほしかったなあ・・と後から思いました。あとにちゃんとしたショーがあるんだから。

という感じで、私は古くて好みじゃない公演でした。もっとリメイクすれば、ストーリーは王道なのになあ~と思います。
ところでラストシーン見てると、トップ単独退団公演仕様みたい。トップ娘役と2番手がカップルになってトップが一人去っていくのを見送るんですから。初演がそういうシチュエーションだったのかな?これ紅さんの退団なの?みたいに感じる作品でした。





スーパー・レビュー
『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』
作・演出/中村 暁


ショーは「GOLD SPARK!」を思い出したけど(似てる)、ショーらしくて楽しかったです。「ゴールドスパーク」は音月さん、未涼さん、特出の北翔さんが歌い倒していて、それだけで良いショーに見えたんだなあ~って今更ながらに思い出しました。今回も、星組に礼さんレベルがあと2~3人いたら、もっと良かったかも・・などと思ってしまいました。美声を響かせて聴かせる歌をメインにするは難しいわよ。
礼さんはとても頑張っていたけど、一人では大変ですね。

客席降りも多く、2回もありました。お芝居でもあったので合計3回?すごいなあ。通路側の席にプレミアムつけてもいいかも。私もハイタッチしてもらえましたよ!ちゃんと開演前に手を消毒しておいてよかった。

星たち、というタイトル通り、星空が背景になった綺麗な舞台装置、照明でショーらしくて素敵。衣装も、星ということからか、ブルーで綺麗な色合いが多くて。やっぱり舞台装置や照明、衣装って大事だ。オーソドックスなショー(J-POPが多すぎるけど)で、楽しみました。

ショーなので詳しく覚えてなくて、歌劇を見ながら章立てを思い出しました・・・。


第1章 プロローグ(若央りさ/西村耕次)
トップコンビと娘役さん数名が板付き。そこからスター歌いつぎからの総踊り。最後はしょっぱなから客席降り!という豪華さ。客席降りで通路席だと、正面舞台観てないし歌も聞いてないね(笑)

第2章 星メドレー (若央りさ/手島恭子)
銀橋に礼さんが残り「スターライトパレード」(セカオワ)から。いい声で聴かせてくれました。ここはしっとりしていたのだけど、次からいきなりカラフル衣装でJ-POPメドレー。歌うのはほとんど七海さん。結構長い場面で、銀橋やセンターはずっと七海さんだったような気がする。そういえば、七海さんはこれで退団だから最後の見せ場?と思ったのだけど、もっと後半にしっとりしたほうが心に残るような気がする・・、七海さんファンでないので何とも言えないけど。
私の最愛のご贔屓退団時、途中までは普通に活躍してて、最後に銀橋を一人で渡りながらしっとり歌ってくれたのを今も覚えている(目に飛び込む虹色の、いまだ使いまわしたことを見たことのない新調衣装で)。ラインダンス前くらいの終盤だった。だから「これで最後なんだ、姿を目に焼き付けるのだ」と覚悟してみたことを覚えている。中詰め前に、早々にご祝儀場面というのもありなのか。退団者のファンは何回も見るからいいのか。私は心構えができてなくて、あとから、ああ・・と思ったのでした。
この場面の衣装はカラフル派手派手で、舞台上にいろんな色がいっぱいいて、大変賑やかでした。で、「スタイルイイ人がいる」とオペラグラスを上げてみると、それは極美さんなのでした。綺麗でバランスの良い人ですね~スタイルばっかり注目していたので、やっと顔を覚えられたような気がする(笑)

第3章 星夢 (AYAKO/手島恭子)
壮大な星空背景に、盆が。上には革ジャンにブラックな紅さん。うわ~似合う!紅さんのソロから始まり、盆回るとともに、男役が登場してくる。次々増えていくのって、わくわくしますね。なかなか素敵な演出でした。紅さんってちょっとアウトローな雰囲気が似合う。中身が寅さんじゃないアウトローな男ね。かっこよかった。

第4章 Back!(百花沙里/青木朝子)
最近定番のK-POP場面で、礼さんをメインに若者8人と歌い踊る。生歌?こんなに激しく踊りながら、歌ってるよ!瀬央さんと紫藤さんと、みんなちゃんと歌ってた。歌えるやん!!と思った。衣装も青っぽくて綺麗。かっこいいなあ。と、ここでも極美さんを見つけて堪能した。

第5章 中詰 アスタリスク・メドレー(御織ゆみ乃/鞍富真一)
紅さんと男役集団による熱い歌「HOT STUFF」(と歌劇に書いてあった。)私の耳には、「ほっさん」か「おっさん」にしか聞こえず、帰宅して確かめた。聞いているときは、「ほっさん」て「星さん」?幼稚園???まさか「おっさん」ではないだろう???でも「お前はおっさん」とか聞こえたし、客席のおっさんへのコール?おじさま方はレスポンスすべきなの?(私の周囲にはオジサマ客が多かった)
と、この歌もだけど、次の客席降りの歌も、妙な歌詞だなあ~と思って、あまりまじめに聞いてなかった。ごめん。だから妙な歌、としか覚えてない。
その後、綺咲さんと娘役によるダンスがあり、礼さんが歌って一息ついて、リベルタンゴで紅&綺咲によるデュエットダンス。リベルタンゴを使っているのに、あまり踊ってないように思った。それならもっとゆっくりした違う曲でいいやん?と思う。それから総踊りとロケット。ロケットの衣装が可愛かった。

第6章 星サギの夜(平澤智/青木朝子)
星サギって、書いてあった。舞台にいたのは白い鳥。 紅さんや綺咲さんが白鳥に囲まれ真ん中にいて、みんなが楽しく踊っていたら、黒い鳥(実はサソリ)が乱入し乱す。黒サソリの瀬央さんダンスいいね!ダンスは圧倒的に黒がかっこいい。混乱したところで、稲妻が落ち、星サギの王子さまみたいな礼さんが登場。退団時によくある場面だが、いいのか。そして全員で総踊りで終わり。

第7章 フィナーレ(御織ゆみ乃・DD若央りさ/手島恭子)
瀬央さんのソロ「ありえない奇跡」から。歌良いですね。なんかこちらのほうが退団っぽくて驚く。
綺咲さんと娘8人ダンス、ショートヘアで最初誰かと思ったくらい。かっこいい。こういうのが似合うなんて~とびっくり。ひたすら可愛い役しか見たことがない気がするので。
男役大階段は「情熱大陸」葉加瀬太郎。壮大な曲だから大階段にぴったり。紅さん礼さん七海さんがキラキラ付黒燕尾。正統派黒燕尾は久しぶりらしいけど、やっぱり宝塚らしくてかっこいいから、好きだわ。そのあとはオーソドックスにデュエットダンス。「逢いたくていま」MISIAで歌詞あり影デュエット(夢妃と小桜)が美しい声。デュエットダンス自体はリフトもなく簡単に終わる。デュエットダンスが何度も入るけど、どれもあまり変化がないように感じた。それなら1度印象的なものを入れて欲しいかな。好みの問題だけど。
エトワールは華鳥礼良さん。退団なんですね、綺麗な歌声です。次に、天華えま&紫藤りゅう、麻央侑希&有沙瞳、次から一人で瀬央ゆりあさん。ここまで男役さんに肩羽根あり。七海ひろきが3番手羽を背負い、礼真琴さんが大きな2番手羽、綺咲愛里さんが豪華ドレス、紅ゆずるさんの大羽根。最後に銀橋に出た時に妙な違和感が。なんで肩羽の人が銀橋の端のほうにいるのかな?管理職の内側は瀬央さんだけ?ふつうは管理職の外でも、銀橋の中央よりに固まっているような気がするので、あんな端のほうにいるのは変な並び方に感じる。
中村S先生らしい(どこかで見たような)ショーでしたが、宝塚的で落ち着いて堪能できるタイプの好きなショーです。正月3日の録画を忘れたのが悔しいわ・・再放送を待つ。



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