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劇団☆新感線「偽義経冥界歌」大阪 [観劇感想(その他)]

劇団☆新感線「偽義経冥界歌」大阪
2019年3月17日(日)13時フェスティバルホール 3階6列上手


久々の新感線です。「髑髏城の7人」シリーズは東京だけの上演で、上手く都合が合わなくて見れないままだったから、「蒼の乱」以来4年ぶりでしょうか。
今回は「中島かずき」作ということで、期待していました。期待通り!
私の好みのタイプの脚本演出でした。元ネタ有を「どこかに似た架空の国」に移して、それを別の視点で、別の角度で、あらびっくり!という話に仕上げ、なおかつ「そうだったのか~」と思わせる作りで、さらには深い考察まである。大変楽しい。緩急のタイミングも、シリアスとギャグの比率も完璧。いつもながら「さすがの新感線」です。やっぱり好きだわ、中島かずき氏の脚本。

3階端っこと席は良くなかったけど、台詞も明瞭で映像も良く見えたので、満足。
でも近くで見たいから、ゲキ×シネが楽しみ。

201903偽義経B.jpg


偽義経冥界歌
演出 いのうでひでのり
脚本 中島かずき


フェスティバルホールは音響が良いですね。ミュージカルでないからどうかな~と思いましたが、台詞も良く通り(役者が良いからだと思うけど)、音楽や効果音も無駄に共鳴せず、とても聞きやすかった。

1幕では奥華と鎌倉、壇之浦など、歴史的なお話がガシガシ進んでいき、正史に記されていない部分はほぼ2幕。1幕は説明も多いけれど、簡潔で分かりやすい地図映像や、簡素なのに雰囲気のある背景映像で場面が分かりやすく転換し、台詞にも配慮があり、役者の台詞も通るし、3階B席で見ていても、置いていかれることは無かった。嬉しい。場面転換がスピーディで素晴らしい!
そして2幕。これからが奥華がメインの創作・創造物語。だから殺陣もすごくふんだんに取り入れてあった。ほんと殺陣多かったわ。牛若丸は当然として、玄久郎も秀衡もすごい殺陣の量、それにそれだけ戦ってから歌うとか、タカラジェンヌ?というほど(新感線の役者さんは歌って踊るジャンルでなないもの。歌って踊る主役なんて歌劇の世界だ)。

3時間40分といつもながら長時間ですが、全く飽きないし気も散らず睡魔も来ない。ずっとどうなるの?という感じでドキドキしながら必死で見てました。3階B席で細かい表情が見えなかったので(人物が多いし全部の人の表情見たいし、すごく動くからオペラグラスが間に合わない)ゲキ×シネになるのを首を長くして待ってます。

生田斗真さんの役は、二役というか、「義経に成りすます国衡」という役なのですが、どちらももう一つの名前が「げんくろう」なのだ(義経を「げんくろう」と称すのは敵だけどさ)。だから舞台の上では「げんくろう!」と呼ばれていて違和感がないのだが、書くとなると漢字が違うのね。上手いなあ~って思った。脚本はどうなってたのかな~?と戯曲集を見ると、「玄久郎」と「義経」になっていた。


<奥華>
源九郎義経/奥華玄久郎国衡(生田斗真)
奥華の棟梁・秀衡の長男。母は正妻ではないが、嫡男と呼ばれている。ただ明るく陽気で楽しく武力はあり、即断即決の思い切りのいい性格!という好青年。ちょっとしたことで牛若を殺してしまい、身代わりに。源九郎義経として鎌倉へ。野生のカンで連戦連勝。ところが、父と正妻、弟のことで、奥華に戻ってくると大変なことになっていて。自分が故郷に戻ったことで頼朝軍を呼び寄せてしまい、さらに大変に。ここでも即断即決思いのままに行き当たりばったりでその場しのぎに対応していたら、より一層大変な事態へと転がり落ちていく。この辺りはさすが。ここらへんでさすがに気づくのだわ、そのポジティブな特徴の裏にあるものに。
軽そうで明るくて楽しい青年で、そのまま最後まで行くのかなと思ったら、ちゃんとあった。その明るく能天気で楽しい生き方を顧みる時間が。1幕の人物設定は、ちゃんと伏線だったんだね。2幕後半に行くにしたがって、1幕での伏線に感動した。上で書いた「好青年」の特徴を、ことごとく裏から見るのだから。自他ともに美点だと思っていた特徴が、欠点になるのだもの。すごい転換。
だからもう一回ちゃんと1幕から見てみたいと思う。秀衡と源九郎の会話、すごく深いです。ほんと素晴らしいセリフの数々。色紙にして飾りたい!(ちゃんと「戯曲集」を買いましたよ)。
生田さん、さすが主人公、綺麗なお顔だけではないのだ。ちゃんと内面があるのだ。素晴らしく良かったです。

奥華次郎泰衡(中山優馬)
国衡の異母弟。強力な正妻の息子だけど、次男というのをわきまえておバカな兄を慕いちゃんと立てている。父にも母にも兄にも素直に対応するよい子。兄は考え無しに動くからか、弟は考えすぎて動けないようにも見えた。まあ兄があれだけバカやってたら慎重にもなるかもしれないが。
結局は、動けない間に追い詰められ、さらに身動き取れなくなり、結局兄の示唆により行動することに。すべてを捨て、やっと自由になれたのかな、というラストシーンでした。
いや~美形兄弟ですね。麗しかったです。見ごたえのある美形は大好きですよ。綺麗なだけではなく、お芝居も。唖然呆然愕然と立ち尽くす場面が多かった気もするけど(もうちょっと自己判断で動けばいいのに、って気もした)、動きすぎる方々に囲まれていたので、立ち尽くすという動きも又ありだなあと思ったし、歌も控えめだけど良かったです。


奥華秀衡(橋本さとし)
二人の父。大変強い奥華の王として君臨していますが、実は野望があって、あまり周りのことを考えていない人物。自分は冒険したいのかもしれないけど、責任ってものがあるよね・・・と奥方に同情する。この方、影の主役というか、裏の大王というか、素晴らしい役割でした。
カッコいいわ、上手いわ!もうラストあたりの秀衡のセリフは、全部書き出したいくらい素敵。貫禄があって王者らしくて、その王者の我儘出回りが振り回されていた。でもその欠点さえもが、本当にカッコいい男ぶりでした。


黄泉津の方(りょう)
秀衡の奥方。というより、巫女長と言われるほうが正しい。奥華の人々からしたら、俗世の諸々を担うのは秀衡であっても、民人の心の要にある王は黄泉津の方でしょう。そんな感じ。この夫婦は好きあって夫婦になったのではなく、政治的なものなのでしょうねえ。
最初は悪女?と思いましたが、実は実は!という方で、ラストのあたりは大変男気溢れる凛々しき方でした。この母には、玄久郎も泰衡も敵わないと納得。彼女のパートナーは、秀衡ではなく「くくり」でしたね。良いコンビぶりでした。

くくり(新谷真弓)
黄泉津の方の腹心の部下。夫より息子よりずっと信頼されている。二人の間には奥華を背負う気概と責任感、そして強い絆が見えた。声が独特で、この声で言われたら、なんか言うことを聞かなくてはならない気になる。黄泉津の声は硬質でピシッとしているのに対し、くくりの声はふんわりと包み込むようで、なんか二人の相乗効果が素晴らしかった。良い仕事されてましたわ。

木乃伊守の干殻火(インディ高橋)
達谷窟みたいなところ、奥華のご先祖様の木乃伊を守っている方。生きているときから干からびていたため、即身仏のように木乃伊化作業をしてもらわなくても木乃伊になったというツワモノ。
ご先祖様(初代2代目)そして現当主(3代目)に交じって堂々と・・・実は奥華の実力者だったんですね。賑やかしのような存在かなと思っていたら、2幕にも出てきて大暴れでした。


清衡(村木仁)&基衡(吉田メタル)
初代と2代目。この作中では省略されているけど、朝廷や源氏との関係の基礎を築いた方々。この辺り、パンフレットには解説があった(あまりに豪華だったのでつい購入してしまった)。私は「炎立つ」(By高橋克彦)で読んでいたので(この辺りは一通り知っててよかった)、おお清衡と源氏の朝廷(藤原氏)の因縁か~とか基衡と源氏か!となかなか楽しかった。じいさまたちは、本能のまま大暴れしに来ただけみたいに見えた。人間としての意識を強く残している3代目秀衡の思惑に引き摺られていた感じかなあ。魂チームは上から見ていると、見分けがつきにくくて。まあすごい殺陣でした。


奥華十三(河野まこと)
秀衡の弟で、器は比較にならないほど小さい男。黄泉津を利用して、などと無謀なことを考えていましたが、格が違うわ!という感じであっさりと。でも小物らしい動きをしてくれ、話をガンガン動かしてくれました。

<???>
静歌(藤原さくら)
大陸から来た歌うたい。不思議な力のある歌は「大陸から見た未知の魔力」みたいな扱いでしたけど、あれって神道と陰陽道の混じった方術に見えたわ。あ、でももともとはキョンシー使いの術みたいなものだから、大陸由来であっているのか。
平家に請われて歌っていた歌うたいが、平家滅亡後に義経に出会い、不思議な力を見て一緒に奥華へ来る。奥華でも不思議な力を発揮しまくって、事態を大きくしていく。
彼女は歌うたいで、歌を請われたら断れない、といいつつ(ちょいとニヒルなスナフキンみたいだ)情に厚くて、義理堅い。最後はずっと無意識に抑圧されていた泰衡と一緒に、良い関係を築きそうな、そんな印象。ヒロイン的ポジションだけど、そうではなかった。新感線ではあまりしっかりしたヒロイン置かないことほうが作品が締まってよいような気がする。(宝塚なら、絶対に娘役トップの役だし、話がもっと恋愛に焦点置かれるよね。でもちょっとこのストーリーは宝塚でできそうに思う。新感線見ていてそう思ったのは初めてだ。)
その神秘の力のある歌声、特に透明感は感じないのに(私は透明な声が好き)に妙に惹かれる不思議な声ですね。あの世の扉を開くのはこういう声のほうが良いのか・・とちょっと納得。


遮那王牛若(早乙女友貴)
頼朝の異母弟で、鞍馬から奥華に逃げてきた青年、山伏軍団がバックにいる。しかしながらとんでもない性根のロクデナシ。冒頭であっさり死んでしまったので、どうなるかと思ったら、2幕のほうが大活躍。
軽々とした殺陣で、「鞍馬で天狗を相手に稽古していた牛若丸」にぴったりでした。
ただ、お兄さんもそうだけど、活舌あまりよくないのかな。唯一セリフが聞き取りにくかった・・・こもる声なのかもしれない。舞台俳優は声が通る活舌の良い人が多いから目立つのかも。


武蔵野坊弁慶(橋本じゅん)&常陸坊海尊(山内圭哉)
牛若丸を保護している人々。義経の武装勢力。だけど本当は、純粋な想いで義経を支持しているのではなく、とある思惑があって彼らの利益のために動いている。この陰謀は面白かったです。
しかし弁慶と海尊、ほとんどニコイチで動いていて、ちょっともったいなかった。橋本じゅんさんなのに、役が大人しいの。何をしでかすかと待っていたけど、特に何もしでかさなかった。この作品では主人公(玄久郎)や秀衡がかなりヤラカスから、弁慶までやらかす隙間がなかったのかもしれない。


<鎌倉>
源頼朝(栗根まこと)
武家の棟梁を目指して平家打倒に挙兵した人物。今回は敵役だから硬派に出てくるのかと思ったら。いやいや。デロデロでした。奥様が強すぎて、ああそうだよな・・という感じ。ただ陰謀術策は素晴らしく、そこはさすがの栗根さん。一筋縄ではいかない、何か考えを巡らせている風が良くわかります。その猜疑心こそが頼朝らしさ。それが見えなきゃ、山法師の陰謀が意味を無くすよ。デロデロとインケンのギャップも素晴らしい。あのイチャイチャぶりは、宝塚のショーでよく見るわ~まさか新感線の舞台で見るとは!!(しかも栗根さんと中谷さんって)と驚きました。
頼朝は一番の勝利者のはずですが、「勝った気がしない・・」というセリフ通り、戦いでは逃げてばかりだし、頼朝そっちのけで奥華が内紛しているし、妻と妾はアレだし、頼朝は全然勝ったようには見えません。でもそこがイイ。脚本深いわ~頼朝、いい雰囲気出してました。


北条政子(村上よし子)
強い。鉄板をおやつ代わりにする女性。まさに鉄の女。行動原理は、夫への嫉妬というより、日本の未来を担う男であるが、夫一人に任せるつもりはない!という感じで頼もしい。大変戦力になる妻ですね。行動力があり、筋が通っており、(ちょっと人間離れしているけど)なかなかいい女ではないかと。その人間的な魅力で、敵まで取り込んでしまいました。すごい。そりゃあ頼朝も頭が上がらんわ。

おかめの方(中谷さとみ)
頼朝の愛妾。わりと行動力があって、機転も聞く。さすが将軍(もうそういっていいのか?)の愛人。愛する人と一緒にいるためには、武士に交じって武士の仕事もしてますし、正妻には立場をわきまえ遠慮している。偉いじゃないか。頼朝様を大事に想うもの同士、政子様とも上手くやっていけそう。

梶原景時(川原正嗣)&土井実平(逆木圭一郎)
頼朝の部下。梶原は義経の監査役だったので、ずっとそばにいて文句を言っている。頼朝の信頼も厚く、いろいろ裏話を知ってる。側近中の側近ですね。土井のほうは梶原には劣るけれど、有能な武将で信頼熱いという感じでした。

<都>
鈍覚大僧正(右近健一)&痛風権僧正(磯野慎吾)&炎上院(保坂エマ)
都の方々。彼らなりに日本の平和を考えて、でも武力がないので陰謀を巡らせている。呪術も使うようだけど、大陸由来の、静歌と似たような術も使ってた。静歌の術より古そうだったか。


という感じで大変深くて感動しました。やっぱり中島かずきさんの脚本は好きだな。と、幕間に戯曲本を買いに走り、ついでにあまりのキラキラぶりにパンフレットも買ってしまいました。普段買わないのに。パンフレットを買ったのは「朧の森」以来かも。

今回は3階の端っこという大変悪いお席で見ましたが(しつこい)、上空から見る殺陣が美しく、また照明の仕事もしっかり見ることができました。照明すごいよ~山になったり、岩屋になったり、宮殿になったりさあ。最近の映像は凄い仕事するね。あとは上半分の出すぎずさりげない映像で、素晴らしい場面転換が秀逸。宝塚や東宝が映像を使うより、新感線では早くから映像を活用されてましたものね、やっぱり使い方が上手い。
衣装も、3階奥から見ても分かりやすくて綺麗。ちょっとだけ異世界風でゴージャスですね。こういうのは好き。泰衡たち奥華一族の衣装が華麗でした。

201903偽義経A.jpg


帰りにフェスティバルホールのレストランに行ってご飯を食べて満腹。美味しかったけど、高かった。よく見たらコンラッド・ホテルの入っているタワーだった。高級感のあるお店だなあと思ってたんですが、お値段も高級感が漂ってました。大人しくホールのあるほうのタワーに行けばよかった。せっかく義経見たから、和食!と思ったのだけど。
とまあ、大変満足して帰宅しました。もう一回見たいけど、大阪はもう終わるし、他地域の公演は運が良ければ見れるかも?と、来年春の福岡公演が終わってからのゲキ×シネを待ってる。

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