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宝塚星組「鎌足−夢のまほろば、大和し美し−」DC [観劇感想(宝塚)]

宝塚星組『鎌足−夢のまほろば、大和し美し−』
2019年5月7日(火)14時 梅田芸術劇場ドラマシティ 25列センター


最初にお詫びを。脚本が気に入らない。すごく気に入らない。
破綻しているとかではなく、私の感性に合わないだけですが、許容範囲を超えました。
人物設定が全く共感できない。なので大変な酷評です。(ほぼ生田さんへの苦情です)
だから「すごく良かった!感動した!」という方は読まないでくださいね。

201905星鎌足.jpg


「あかねさす紫の花」とかの、この時代がもともと大好きなので、見に行った。
が。あまりの勝手な偏向ぶりについていけなくて、途中で考えるのをやめた。
飛んでも脚本でも、笑って楽しめる作品なら許容範囲(例:蘭陵王、キャプテン・ネモ)
でもこの作品は乾いた笑いしか出ない。
え・・・この人が鎌足・・・・嘘や・・。何度つぶやいたか。
別に脚本が破綻しているとかでは全然なくて、それなりに構成されている。
ただ、鎌足像があまりにイメージと違って、私は全く受け付けられなかった。
紅さんの役作りとか演技とかではなく、脚本からの根本的な問題だ。
そう、生田さん、アンタの所為だ!!!!!
資料本集めて読んだら脚本を書き直せ!!!と言いたいくらい。
なんで原作つけなかったのか!と思うのであった。
だから「生田先生、素敵!いい作品だわ~」と思う方ここまでに。


楽劇(ミュージカル)
『鎌足−夢のまほろば、大和(やまと)し美(うるわ)し−』
作・演出/生田 大和


1幕を見ているときから、なんとなしに違和感があった。鎌足の描写に。それはどんどん加速していう。場面を追うごとに、「鎌足はこんなことしない」「鎌足はこんなこと言わない」「鎌足は・・」が蓄積されていった(鎌足さんの知り合いではないのですが、少女のころからこの時代が好きで、いろいろと読み漁っていたので、思い入れが強すぎた)。
そして蓄積した違和感は、ラストシーンでは「鎌足じゃなくて大海人皇子か!!!」と突っ込みたくなったくらいだ。終演後は、あまりに呆然唖然として手も動かず、その後怒りに襲われた。一人観劇のためその場で鬱憤を話せず、このまままっすぐ帰宅する気になれずに、1杯飲んで落ち着いてから帰宅するほど。怒りのあまり素面で帰れなくて。落ち着いて感想を吐き出さないと、電車でぶつぶつ言ってしまいそうだったので、梅田のとあるお店に入り一人で一杯飲みながらスマホ相手に気を落ち着けた。
それほど私は呆然としたのよ。前半から積もり続けラストシーンから終演辺りは、もう拍手する気力もないくらい(熱演する役者に罪はないので、一応頑張って拍手したよ。その場に生田さんがいたら小一時間問い詰めたかったけど。)
いつか笑って見られる日が・・・来ない。


まあ怒りのあまり書いてますが、鎌足の人物像の設定以外にも、脚本がひどすぎる。
1幕は普通に蘇我入鹿が主役。どう見ても主役。鎌足は出番の多い2番手レベルだ。ヒロインは宝皇女(皇極帝)で、豪族政治の最高権力者・蘇我氏の御曹司である入鹿と、権力争いの政治的な理由で亡き夫の後に天皇になった宝皇女の、互いの立場と表には絶対に出せない恋ともいえない感情がなかなかに切ない。蘇我が為政者である現在の政治体制(現状)が時代に合わなくなっていることを見抜き、最高権力者になる人物ながら地位に安穏とせずに果敢に改革していこうとする入鹿、夫の死後、息子たちのために他系の王家に皇位を渡さぬよう女ながらも皇位を引き受ける気丈な宝皇女。何もできない傀儡女帝の姫君ではなく、しっかりと自分で政治にかかわる意思を持ち、母として自分の王統のために戦う女。入鹿と皇極帝は協力しつつ対立しつつ、という薄氷を踏むやり取りをしながら、日本のために自分の家のために戦いながら協力する立場。その立場なのに、二人の間に流れる愛に近い感情。いいわあ、この関係。これなら十分タカラヅカの歴史ロマンスだ!
だけど入鹿は主役じゃないのだ。皇極女帝もヒロインではない。入鹿の友人で、有力な名家出身ではなく蔑まれながらも才能があり政治を志す同志が鎌足。これ有力な2番手役やん。
やがて最高権力を手にした入鹿が、誤った方向に改革を進め、それを是正するのがかつての親友である鎌足。その葛藤。入鹿の愛する女性の息子(中大兄)と、親友・鎌足。彼らが入鹿を討つ。決して憎しみからではなく、国を憂えて、という同じ思いを持ちながら対立する。
この乙巳の変をメインにして、人物を丁寧に描けば、これで1作品で良かったのでは?と後から思った。だって1幕、ほとんど入鹿の場面なのだから。(紅さんが入鹿で主役したらいいやん。)

主役の入鹿が殺された後、2幕は中大兄皇子が主役となる。鎌足が改革の大義名分を得るため、いや鎌足の夢(国の改革)を託せる人物が中大兄皇子なのだ。だからこの若く(まだ思慮が足りない)有望な青年を、鎌足が考える理想の最高権力者にするために、鎌足はこの後の人生を国家にささげる・・・・と、私は思っていた。
だから権力を得た中大兄皇子が、理性で欲望を抑えられない行動が増えていくことを憂い、それを制し、軌道修正し、周囲を周到に根回しして彼の理想の国を作るべく邁進するのが鎌足。鎌足の志の前には、帝すらコマに過ぎない。冷徹なまでに熱く理想に燃える政治家、それが鎌足。

だと思ってたのに。この作品では、理想を抱いているのは入鹿だけ。鎌足は入鹿の夢に引き摺られていただけの浅い思考。新しい国づくりに参加できない古臭い神祇官にしかなれない身分、そこから抜け出したい!というのが鎌足の夢。(最後の告白に、中学生の悩みか・・・と思ってしまったよ)。入鹿の新しい国づくりをやりながら、幼馴染の恋人・与志古を妻にして、みんなが幸せに暮らしていくことだけを望んでいた。政治改革や国家の理想像なんて持ってない。「幸せ」とか「可哀そう」とか、感情だけで動いている。(作中、旻にはっきり指摘されてるくらい。)
この作品では、乙巳の変までは、鎌足が中大兄皇子を扇動している。準備もやっている。でも乙巳の変後の大化の改新は、中大兄皇子(とその後ろにいる宝皇女)が鎌足を利用している。鎌足は、帝となった中大兄皇子に翻弄され、信念もなく流されるままに命じられる通りの動きをするだけ。冷徹な政治家でも熱い革命家でもない。己の良心に反することでも「上司に逆らえない」と言い訳をしながら実行する優秀なだけの役人・鎌足だなんて・・・生田さん、なんでこんな鎌足像にしたのよ!?と怒り心頭だ。
これなら中大兄皇子が主役でいい。彼も葛藤して理想の国家と、そこに至る道のりである血塗られた自分の手に苦しんでいたのだから。本作の中大兄皇子は1幕から引き続く母・宝皇女が強すぎて主役というには少し弱かったけれど、彼を主役にしたほうがすっきり共感できる。

主役の王道である中大兄皇子を主役にせず、あえて鎌足を主役にするのだから、意図があったはず。―――冷静沈着で行動力のある冷徹な政治家、心に秘めた熱い革命家の理想、そのためにいばらの道を歩んでいくストイックさ、そういう感情を出さない男がふと見せる妻への愛情。そのわずかな仕草や冷静な言葉の裏に隠れた深く細やかな愛情を感取る妻、冷徹と非難されがちな夫の、内に秘めた熱い情熱と理想を理解して支える妻・・・冷酷と誤解されがちな男が特定の人物(妻)だけに見せる深く豊かな人間性・・・・この辺りのツンデレが見られるのではないかと、私は勝手に期待していた。いや勝手に期待した私が悪いのだが、前提となる鎌足像があまりに違っていて、驚愕だ。愛情表現豊かに恋人と語り合い、チャラチャラ甘い言葉でデートしたり、思ったことをそのまま口に出し、考えるより早く行動し、感情のまま宮廷で泣きわめいたり・・・・もう私にとっては「誰この人?」状態で、入鹿や中大兄皇子がなぜこんな男を頼りにするか全然理解できなかったくらいだ。最後、帝に殺されても当然?と思うよ、もう。

というわけで、鎌足の人物像だけで私は受け入れられなかったのだわ。心が狭くて頭硬くてごめん。でも駄目。
この後にもいっぱい言いたいことはあるよ。
超重要人物の大海人皇子がかけらも出てこないとか、鎌足の正妻・鏡女王が出てこないとか。そうそう鎌足の長男・定恵も出てこない(定恵はまあいいけど)。また作中では蘇我石川麻呂の娘は孝徳天皇の后、とだけ言って中大兄皇子を非難していたが、中大兄皇子にも娘が2人嫁いでいますよね?(持統天皇の母と元正天皇の母だから重要人物)とかね。その前に、石川麻呂の娘よりまず孝徳天皇の皇后は間人皇女で中大兄皇子の同母妹なのに!一言もない~。石川麻呂を裏切る弟・蘇我赤兄も出てこない。(この辺りの策略は全部、鎌足の考えだったと思うのだが・・・)この辺りはもっと丁寧に書いてほしい。彼らの志の強さ、「身近な人の、仲間だった人の血を流しても、改革をやりきる」という強い意志の表れなのに。

こんな史実なんて関係ないわ!!!フィクションやん!!細かい、うるさい!って言われそうですが、でも宝塚ファンなら再演を繰り返す『あかねさす紫の花』は見ている人が多いと思うのだなあ・・あの作品はかなり忠実に作ってあるなあと改めて思いましたわ。
ついでに言えば、古代は、高貴な方(帝)の皇位継承者にならないような生まれの息子を自分の跡継ぎにもらうことは大変名誉なことだったような・・・・主従の強い関係の証拠だものね。もちろん失脚やらのリスクを考えて周囲に知らせないのはあり。だけど帝本人は絶対に知ってないと「絆の保証」にならないやん。なんで現代の感覚で隠してるの?と思った。古代なのに妙に現代の価値観に基づく行動と現代風の言葉遣いが、違和感の元かもしれない。

もう一つ言えば、脚本が船史恵尺に悪意があるのも嫌。史書編纂が稼業で歴史を残すことに命を懸けている人に、「主を救わず書物を救った情のない酷薄な人物」(←生田さんが解説に書いていた。)という評価はひどすぎる。蘇我の屋敷は宮殿と言われたほどの広い敷地、最期の時に主(蝦夷)がいる部屋と、史書資料が保管してある部屋が近いはずもなく、船氏らは自分の持ち場で全力を尽くしていたのだ。主の蝦夷を守るのは、衛士だよ、史部の人間じゃない。だから主を助けることと資料を運び出すことは背反しない行為だ。そのくらいわかってよ!!!と一喝したい。船氏も、国の未来を思い、歴史が絶対に必要だから貴重な史料を全力で持ち出したと思うの。勝手に歴史を作るためじゃなくて。勝手に(というか権力者に都合よく)歴史書を編纂したのは、鎌足の息子の不比等で、反対したのは史部(船氏も当然入ってたと思う)じゃなかったっけ?・・・という皮肉なのでしょうか?生田さん。何度も船恵尺に「歴史を勝手に書き換えてやる(高笑)」と言わせていましたけど。記録に命かけている史部にそんな台詞を言わせるなんて、かなーり不愉快でした。


ということで、1幕「乙巳の変」編の主役は入鹿、2幕「大化の改新」編の主役は中大兄皇子、全編の陰の主役は宝皇女という気分でした。なぜ鎌足を主役にして脚本を書かないのか!と鎌足が結構好きなので、本当に悔しい。書き直せ!と言いたい気分。

そういえば、公式HPのあらすじ、が途中で変更になっていたような気がする。しっかり勉強してから書くか、ちょっとアレだけど劇団新幹線みたいに「(知ってるような気がするけど)いつかの時代のどこかの国」設定にするか、『義経妖狐夢幻桜』みたいに異世界に設定にしてほしい。史実っぽく描きながら、完全ファンタジーなのって疲れる。


わあ、生田さんへの人物設定に対する苦情だけでこんなに大量!(笑)
黒岩重吾とか永井路子とか、原作つけたらよかったのに、としみじみ思いました。


<全編を通して出る人>
中臣鎌足(紅 ゆずる)
巻き込まれ型の主役という感じかも。入鹿の志に巻き込まれ、自分がまきこんだはずの中大兄皇子に引き摺られ、翻弄されて、自分の強い意志で熱い行動に出したのは、一度奪われた愛する女を取り戻すという場面のみ。うーん、愛に生きた男だったのね。
見た目は涼しげな目元の貴公子ですが、表情豊かに明るく優しく暑くるしいほど愛情深くて、「鎌足」でさえなければ、と勝手なことを思いました。だってさあ2幕ラブラブすぎるよ・・・紅さん。もう愛のためなら身分も外聞も政治も何もかもぶん投げる勢いなのだもの。生田さんの鎌足像はこういう人物だったのかもしれないけど、やはりどこかに「紅ゆずる」が透けて見えた。「鎌足と与志古のラブシーン」じゃなく、「紅さんが綺咲さんと楽しくイチャイチャしている」ように見えたのがとても残念でした。こういうお芝居ではシリアスに徹してほしかった・・・のは私の我儘です。

車持与志古娘(綺咲 愛里)
鎌足の妻の一人で、不比等の母と言われている方。この方は史実ではほとんど出てこないから、まあ何でもいい。幼馴染でもいいや。私の中では、中大兄皇子の身分のあまり高くない妃の一人で、鎌足に下賜されたんだと思っていた。本作では幼馴染設定で、最初に中大兄皇子に奪われ、取り返す設定でしたね。私は「あかねさす」の鏡女王と鎌足の、大変な経験をした者同士の淡い愛情のやり取りが好きなので、それを与志古でやるのかと期待していたが、外れた。最初から最後まで、ラブラブやったわ(笑)
不比等の母としてのエピソードが全く残ってない方なので早死にされたのかと思っていた。不比等は正妻・鏡女王が養育したとかいう話もあるくらいだし(今回鏡女王出てないからいいけど)。
このよしこちゃんは、大変強い。強い男が好き!と断言しながら、鎌足やら中大兄皇子に向かって「弱い人なの」と言って母のように叱ったり甘やかしたり、慈愛に満ちた愛情を見せている!愛らしいお顔をしているのに最強の女か?と思ってしまう。愛する男を守るためには、自分が帝の側室という名の人質となることも平気。それどころか気弱になる恋人を叱咤して自ら人質として乗り込んでいく気概を持つ。宝皇女よりも強いかもしれない。
守ってあげたいお姫様の典型みたいな綺咲さんですが、本当は強がる男を支え愛し見守る強い女が似合うのだなあと、思いました。

僧旻(一樹 千尋)
ストーリーテラーその1.唐からきた名僧で、入鹿や鎌足が通っていた塾の塾長。この時代の知識層の最高峰かな。最初の塾の場面からあとは、ずっとストーリーテラーとして登場。天冥にて、恵尺と出会い、彼の歴史の記し方が気に入らず、鎌足について旻が語るという形式で物語が進む。
冒頭場面に既視感があり、煉獄で、「さあ、語っておくれ、そう鎌~足!」って気分だった(笑)あ、旻がトート閣下だ(笑)。大変よく通る声で、しっかりと解説されてました。語りも上手いし聞き取りやすいし、さすがの貫禄と重厚さです。

船史恵尺(天寿 光希)
ストーリーテラーその2.大和の史部の名門、船氏の当主。これより前に滅びた物部氏が所持していた膨大な史料も持っていて、入鹿により国史を編纂する業務についていた・・はず。だから史料が全部、蘇我の屋敷(甘樫丘)にあったのですね。で、天冥(煉獄と同じよね?)で、まだ史書を書いている。ちょっと自分勝手で皮肉な物言いが『エリザベート』のルキーニを思い起こさせる人物だ。ちょっとやりすぎでは・・・生田さん、と思った。
彼はその後も何度か、旻の回想(物語)にも登場する。新しい時代に、元号をつける!最初の元号は「大化」を発表するのだ。官房長官ですね(笑)。表は「大化」裏面が「令和」の用紙を、TV会見の官房長官のように掲げてました~。彼ら語り手は主に二人で登場し、「歴史」について言い合う。作中の鎌足が真の鎌足なら、不比等は父の記述をかなり美化したな!と思った。それが言いたいがための、あの従来にない鎌足像なのか?!
とにかく、素晴らしく多い出番で、ほぼ3番手では?と思うほどでありました。美しい文官で目の保養でしたが、(演出家の指示と思いますが)天冥場面では割とヒステリックな演技をされていたため、台詞が通らないところもあって、そこだけちょっと残念。


<第1幕「乙巳の変」>←私が勝手につけたので
蘇我入鹿(鞍作)(華形 ひかる)
名門の御曹司で、本人も大変優秀で人間性も良く輝かしい未来を持つ方。熱意もあり頭もよく、理想を持ちそれに向かって邁進していく能力も身分もある。堂々たる主役・・だと思いました。出番も多いし(1幕ほぼ出ずっぱり?)、役割も重く、鎌足を巻き込み歴史を動かしていく超重要人物。
それでいて、彼にしても身分違いの宝皇女へのほのかな恋情とかが垣間見えて、さすがは専科さんと思える存在感と役作りだったと思います。専科といっても、組子と違和感ないほど若く見えますね。

皇極天皇(宝皇女)(有沙 瞳)
1幕は悲恋のヒロイン、2幕は復讐に燃える女。強い母。存在感がありました。ただ女帝という高貴な役を意識していたからか、ちょっと単調な話し方に感じました。高貴な役だから声に感情が出てはいけないのかも。一人で感情を吐露する場面はさすがでしたもん。入鹿との言葉にならないやり取りは、素敵でした。ほんと1幕のヒロイン。


蘇我倉山田石川麻呂(美稀 千種)
石川麻呂は、三韓の調のときに「袖に鈴をつけたらさぞ良く鳴るだろう」と揶揄されたという記述を見た気がするので、今回の乙巳の変の場面はそれが「こんな感じだったのね」と思えるほどのお芝居でした。うまいわあ。小心だけど地位と権力が大好きで、国よりも自分を愛するというお人柄がとてもよく見えました。


蘇我蝦夷(輝咲 玲央)
破天荒で豪快な1代目が興し、堅実で思慮深い2代目が繁栄させ、頭が良く裕福に育ったため理想しか見えない3代目が・・・とかいうイメージがありますよね(3代目の出来が、滅ぼすか反映させるかの分かれ目?)。蝦夷はその2代目。政界は引退しているけれど、まだ家長としては引退していない様子に見えたけれど、理想家の息子の行動を抑えることはできなかったよう。あの名門蘇我氏があっという間に滅びてしまいました。偉大な父の跡を継いで、外部の賞賛を気にせず地味に着実にやってきたのに、派手な息子がやらかしたという感じでしょうか。
名門の2代目の悲哀が感じられました。上手いわ。


山背大兄皇子(ひろ香 祐)
あの厩戸皇子の嫡男、皇位に一番近い皇子と言われていた。ご本人は皇位にはそんなに執着していたのかな?皇位につきたかったら、斑鳩に家族だけで住んでないと思う。この人は父の遺業のうち、政治ではなく宗教を受け継いだのでは?とか思っている。でも本作中では、「私のほうが帝に相応しい!!!」と憤っていたから、人物像が違うようだ。こちらの山背大兄皇子は天皇の地位に執着しているのに、蘇我の謀略の所為で皇位につけなくて蘇我を恨んでいるような印象。イメージ違うなあ・・ほとんどの登場人物がイメージ違いだから、イイのかもしれない。作中では、その不満をかぎつけた入鹿にあっという間に陥れられて、滅びてしまいました。


舂米女王(紫月 音寧)
山背大兄皇子の異母妹にして正妻。斑鳩王朝の女王様みたいな感じでしたね。強いわ。彼女なら宝皇女に張り合って女帝になれたかもしれないような気の強さを感じた。夫をそそのかした?と邪推してしまうわ。


古人大兄皇子(蒼舞 咲歩)
こちらも皇位継承順位は大変高かったはず。年齢とか身分で山背皇子より上だったような気がする。だから鎌足の未来展望図には邪魔だから陰謀で消されたんだっけ?でもって、中大兄皇子の皇后はこの人の遺児になる倭姫。複雑ですね~でもそのあたりは本作では省略されていたような気がする。重要人物なのに割と軽く扱われていて、残念だ。1幕では皇極女帝の戴冠に不平をいう皇族の一人として賑やかしに出ていた印象で、もうちょっと重く描いてあげて欲しいところ。中大兄皇子が主役なら、この人の比重はもっと高くなったのにね。「鎌足が暗躍して消す!」という展開だから、鎌足良い人説の本作ではスポットライトが当たらなかったのだろう。


中臣御食子(如月 蓮)と大伴智仙娘(七星 美妃)
鎌足の両親。神祇官の職に満足して、稼業を継ぐことに反発する息子に手を焼いている感じ。家業や父親に対する反発なんて、もう中二病(笑)。名門御曹司に感化されて同じようにしたい!と暴れる息子に対応する場面は、どうしようもない親の無力さが漂ってきて、なんだか親として共感してしまった。本作では別の職に就きたい息子を抑圧した無理解な人物という印象を受けましたが、この時代だし、親の職(家業)を踏襲するのは常識だったので両親は責められないのでは・・・とか思った。


<第2幕「大化の改新」>
中大兄皇子(天智天皇)(瀬央 ゆりあ)
1幕はまだ改革の意思だけあって行動がついてこない若い青年で鎌足に使われている感じがする。でも2幕ではいきなり立場逆転。母の言うなりというのがちょっと引っかかりますが、えらい高圧的な帝、自信満々の絶対君主になってた。なぜ?何があったの?とその変化が見たかったわ・・・。2幕では、母が参謀のようにくっついて、母子で鎌足を翻弄してましたな。


皇極/斉明天皇(宝皇女)(有沙 瞳)
2幕は復讐に燃える女であり、息子を守る母。自分を支えてくれた大切な男・入鹿を殺した男なんて絶対に信用しないし許さない!と憎みつつ、でも息子のためにその感情は抑え悟られぬように利用する。なんと冷徹でしたたかな政治家。2幕は鎌足と与志古のラブラブがメインのようだったので、宝皇女と息子中大兄皇子の話が割愛されていて残念だった。もっと宝皇女と鎌足の暗黙の戦いを見たかったです。

孝徳天皇(軽皇子)(天路 そら)
弱くて軽んじられ、鎌足たちにいいように使い捨てられた帝・・だと思ってたけど、違っていて。鎌足は排除する気もなく帝に同情していたが、中大兄皇子が切り捨てた、と描かれていた。これでいけば大化の改新は中大兄皇子が一人で推進し、鎌足はその手ごまですね。
大化の改新推者に使い捨てられた孝徳天皇らしく、存在感も政治力も全く感じさせない役作りでよかったです。妻である石川麻呂の娘と息子有間皇子とのほのぼのアットホームを感じされる場面が多く、家庭的で良い人だったのに、非情な中大兄皇子が一家皆殺しにした・・・!優しい鎌足は反対したのに、となっていました。(有間皇子の母は石川麻呂の娘じゃないけど、これくらいは良い)

有間皇子(如月 蓮)
ほんの子供として登場し、観客の哀れさを誘い、鎌足がかばったにもかかわらずあっという間に殺されてしまいました。ひたすら中大兄皇子の非情さを語り鎌足の良心が攻め立てられる手段になってます。

安見児(星蘭 ひとみ)
天智天皇となった中大兄から下賜された采女。本来天皇に一生仕える立場の女性を与えられるとは、大変名誉なこと(と天智天皇自らお話になってるし)、とても可愛い。しかし話し方がもうアンドロイド。感情を一切排除したお人形として描かれていました。中大兄皇子って人非人!ということを強調していました。その人形娘が鎌足の妻の一人となったことで鎌足の優しさに触れ、人間らしくなり、鎌足と彼が心から愛する与志古のために心から協力し行動する・・という存在でした。
書いていて分かったが、2幕の敵は中大兄皇子なんですね。


藤原不比等(咲城 けい)
鎌足と与志古の一人息子。大変可愛らしい子供として登場。彼が幼いうちに父・鎌足が亡くなり、壬申の乱が起きて天智天皇派とされた彼らは冷遇される。その際に、せっかく父・鎌足が最期に勝ち得た「藤原」は親族に奪われ不比等は中臣姓(神祇官の家系)になる。その後、不比等が成長し苦労の後成功してから後、藤原姓(大臣になれる家系)を己の一族のみに取り戻す。ここにやっと、この作品の冒頭で若い鎌足が叫んでいたことが実現するのだわ。冒頭の「姓(中臣が嫌)」へのこだわりからすると、ここまで書いてほしかったわ。とりあえず、この藤原不比等という人は日本の基礎を作った日本史上指折りの偉大な人物!この舞台では可愛い子供けど、1幕冒頭の父の悲願を達成したのよ。



とこんな感じでした。この時代大好きゆえに無駄に知識が多かったので、許容範囲を超えてしまいました。心が狭い私。大野先生ならこんなことは・・・などと、書き込みすぎ!といつも文句言っていた大野先生のマニアックぶりを恋しく思ったりして、反省した。



たまたまですが、奈良に行く用事があり、興福寺へ行ってきました。中金堂が新しくなってから、初めてお参りしてきた。興福寺自体が藤原不比等の建立したお寺で藤原氏の菩提寺、この中金堂のの釈迦如来像は、「鎌足が入鹿打倒を祈願したもの」との解説。紅さんと華形さんを思い出しながら、ほ~としばらく佇み思いを馳せておりました。が、あまりにも外国人観光客と修学旅行生が多くて、大化の気分に浸ることはできなかったのが残念。最近、奈良も京都レベルになってきましたね・・・。



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